
最終更新日:2026/07/20
※本記事は、各省庁・自治体等が公開している一次資料を基に、行政技術職の実務・制度・意思決定構造について整理・分析を行ったレビュー型考察です。
序章
水道広域化という言葉からは、複数の自治体が一つの水道組織となり、水源、浄水場、配水管、水道料金、職員を一体的に管理する姿が想像されやすい。
しかし、国が用いる「広域化」には、事業統合や経営の一体化だけでなく、浄水場など一部施設の共同設置、共同購入、共同委託、システム共同利用、研修、技術支援、情報交換まで含まれる。国自身も、単一の経営主体が経営資源を管理する経営統合は最も強い効果を期待できる一方、それ以外にも多様な方式があると整理している。
○「水道広域化推進プラン」の策定について (平成31年1月25日) (/総財営第85号/生食発第0125第4号/) (各都道府県知事あて総務省自治財政局長、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)(引用元:厚生労働省)
したがって、「広域化を実施している」という表現だけでは、資産、人員、財源、契約権限、料金決定権、施設再編権限、最終責任がどこへ移ったのかは分からない。
国土交通省によれば、2024年3月までに全都道府県で水道広域化推進プランが策定された。しかし、内容には都道府県間で大きな差があり、2024年度に行われた都道府県への聞き取りでも、広域化を検討する人材とノウハウの不足、中核都市が参加する利益を見いだしにくいこと、水道料金格差による合意形成の難しさが挙げられている。全国で「プランがある」ことと、全国で実効性のある共同運営が始まったことは同じではない。
1 広域化の実効性は、八つの移転で判定しなければならない
広域化を評価するとき、協議会の設置、協定締結、共同研修の開催だけを数えても、実際の経営能力は分からない。
少なくとも、次の八つについて「自治体ごとに残ったのか、広域組織へ移ったのか」を確認する必要がある。
1-1 資産
浄水場、配水池、ポンプ場、導水管、送水管、配水管、土地、庁舎、監視設備、台帳などの所有権が移ったか。
単に共同利用するだけなのか、広域組織が更新、廃止、売却まで決定できるのかによって、施設再編の実効性は異なる。
1-2 人員
職員が各自治体に在籍したまま会議へ参加するだけなのか、広域組織へ移籍するのか、派遣されるのか、広域組織が独自採用するのか。
また、人数だけでなく、土木、電気、機械、水質、経営、会計、料金、契約、情報システムの専門性が広域組織に常設されるかが重要である。
1-3 財源
共同事業のたびに各自治体が予算を持ち寄るのか、広域組織に恒常的な収入と予算編成権があるのか。
任意負担に依存する連携では、財政状況が悪化した自治体から離脱しやすい。
1-4 契約権限
共同購入や共同委託の仕様書を誰が作成し、誰が入札を執行し、誰が履行を確認し、設計変更や追加費用を決裁するのか。
協議会に契約権限がなければ、実務は代表自治体か各自治体へ戻る。
1-5 料金決定権
料金体系を地域ごとに維持するのか、統一するのか。統一しない場合でも、料金算定を一つの組織が行うのか。
料金差が残ることと、経営主体が分かれていることは同じではない。
1-6 施設再編権限
自己浄水場を残すか、広域用水へ転換するか、配水池を廃止するか、連絡管を整備するかを、圏域全体で決められるのか。
自治体ごとに最終決定する場合、圏域全体としては施設の重複が残ることがある。
1-7 人事配置権限
技術者をどの浄水場、どの地域拠点、どの設計部門へ配置するかを、一つの組織が判断できるのか。
「必要なときに相互支援する」だけでは、平常時の配置そのものは変わらない。
1-8 最終責任
費用が増えたとき、施設廃止に反対が出たとき、自治体間で利益が対立したとき、最終的に決定する主体があるか。
広域化の深さは、参加団体数ではなく、この八つのうち幾つが実際に移ったかで測るべきである。
2 「用水広域・末端分散型」では、水は広域化されても経営判断は分かれたままになる
全国の多くの地域では、ダム、水源、取水施設、大規模浄水場、広域送水管を都道府県、一部事務組合又は企業団が運営し、そこから浄水を受け取った市町村が配水池、ポンプ場、配水管、給水装置、料金、住民窓口を管理している。
本稿では、この形を「用水広域・末端分散型」と呼ぶ。
この方式には明確な合理性がある。単独市町村では整備しにくい大規模水源、高度浄水処理、長距離送水施設を共同で保有し、地域の地形や管網を熟知した市町村が末端給水を担当できるからである。
しかし、用水供給が広域化されても、末端事業者には次の責任が残る。
水源構成の決定、受水量の決定、自己水源の存廃、配水池とポンプ場の更新、管路更新、給水装置管理、料金算定、設計積算、工事発注、職員配置、技術継承、住民説明、議会説明である。
広域用水を受けることで消えるのは、主として原水を浄化する工程の一部である。水道事業の経営責任全体が上流組織へ移るわけではない。
さらに、受水事業者には、受水量の調整、責任分界、広域施設と自己施設の停止調整、受水地点の水質確認、広域用水費と自己施設費の比較など、組織間の境界を管理する仕事が生じる。
したがって、用水広域化は必ずしも市町村職員の仕事を単純に減らさない。「自ら浄水する仕事」が減る一方、「複数組織の条件を調整する仕事」が増える。
3 二重の固定費が生じる仕組み
広域用水施設は、受水量が一時的に減っても、浄水場、送水管、ポンプ設備、電気設備、職員、企業債の費用が直ちに同じ割合で減るわけではない。
一方、受水市町村も、自己浄水場、配水池、ポンプ場、管路、庁舎、監視設備を維持している。
このため、用水広域・末端分散型では、次の二つの固定費が重なる。
一つは、広域用水供給側の水源、浄水、送水に要する固定費である。
もう一つは、市町村側の自己水源、配水、給水に要する固定費である。
自己水源を維持すれば、複数水源を持つことによる柔軟性が得られるが、施設更新費と維持管理費が残る。
自己浄水場を廃止して広域用水へ転換すれば、浄水工程の費用を減らせる可能性があるが、新たな送水管、受水施設、配水池改修が必要になり、広域用水費への依存も高まる。
この判断を市町村ごとに行う場合、各自治体の判断は個別には合理的でも、広域用水供給事業全体では施設能力と固定費の配分が不安定になる。
問題は、自己水源を残すこと自体でも、廃止すること自体でもない。
広域用水施設と市町村施設を同じ資産台帳、同じ需要予測、同じ財政計画で比較し、圏域全体として決定する主体が存在するかどうかである。
4 広域化の進捗を五段階に分けなければ、実態を誤認する
広域化推進プランや検討会資料には、「検討する」「研究する」「意向を確認する」「可能な取組から実施する」といった表現が多い。
これらは必要な準備であるが、共同運営の実績ではない。
第一段階 調査・試算
将来需要、施設統廃合、共同購入、システム共同化などの効果を机上で計算した段階である。
参加団体、契約者、実施年度、負担割合は確定していない。
第二段階 協議・意向確認
自治体間で対象業務、仕様、参加意向、契約時期を話し合っている段階である。
「関心がある」「効果があれば参加したい」という回答は、予算化や参加決定ではない。
第三段階 覚書・基本協定
将来の共同化について基本的な合意を形成した段階である。
ただし、個別事業への参加が年度ごとの任意判断であれば、共同発注量や参加団体は安定しない。
第四段階 予算・契約・施設整備
参加団体、仕様、負担額、契約者、履行監督者が確定し、予算と契約を伴う段階である。
ここで初めて、検討から実施へ移ったと判断できる。
第五段階 恒常運用・責任移転
広域組織が毎年度の予算、人員、契約、施設再編を自ら決定し、自治体が離脱しても直ちに崩れない状態である。
資産、人員、財源、権限が移された責任統合型は、この段階に近い。
全国のプランを比較すると、調査や協議を「広域化の取組」として記載する地域が多い一方、国も、計画内容に差があり、実施を進める人材・ノウハウが不足していると認めている。したがって、計画策定件数や協議会開催数だけを進捗指標にすると、第二段階と第五段階が同じ「広域化」として集計されてしまう。
第4回 上下水道政策の基本的なあり方検討会【令和7年5月20日】資料2_上下水道の広域連携に関する今後の政策の方向性について(引用元:国土交通省)
5 緩やかな連携は、統合より軽いが、実務上は決して簡単ではない
共同購入、共同システム、共同研修は、企業団への資産移管より小さな取組に見える。
しかし、緩やかな連携では、各自治体の条例、予算、契約、人事、施設、料金体系を残したまま、共同化する部分だけをそろえなければならない。
水道メーターを共同購入するなら、口径、材質、計量方式、遠隔検針への対応、購入数量、交換周期、納入時期、納入場所、検査方法、保管方法を統一する必要がある。
薬品なら、濃度、品質規格、使用量、貯蔵槽容量、納入頻度、緊急補充条件が異なる。
管路台帳なら、座標系、図面精度、属性項目、更新方法、既存データの欠損、個人情報、システム更新年度をそろえなければならない。
料金システムなら、料金体系、検針周期、減免、口座振替、滞納管理、給水停止、下水道使用料との連携まで調整が必要になる。
緩やかな連携は、「責任主体を変えずに、仕様だけを統一する取組」である。
そのため、制度変更は小さくても、現場調整は細かくなる。
6 緩やかな連携が止まる構造的理由
6-1 既に安く調達している自治体がある
共同購入後の平均価格が下がっても、従来から安く調達していた自治体の価格が上がる場合がある。
圏域全体の利益と個別自治体の利益が一致しない。
6-2 契約終了時期がそろわない
システム、リース、保守契約、長期継続契約の終了年度が自治体ごとに異なる。
最も遅い自治体を待てば実施が先送りされ、先行自治体だけで始めれば規模が小さくなる。
6-3 既存投資が障害になる
独自システムや設備を更新した直後の自治体は、残存簿価や解約費を負担してまで共通システムへ移りにくい。
先に合理化した自治体ほど、新しい共同化へ参加しにくい逆説が生じる。
6-4 費用配分で対立する
人口、使用量、施設規模、契約件数、距離、受益のいずれを基準にするかで負担額が変わる。
単純な人口割は小規模自治体に有利とは限らず、使用量割も共同化による固定費を適切に表さないことがある。
6-5 共同化を担う常設組織がない
協議会に専任職員、予算、契約権限がなければ、仕様作成、予算要求、入札、検査は代表自治体又は参加自治体へ戻る。
代表自治体の負担だけが増える場合、継続しにくい。
6-6 人員不足対策を設計する人員が不足している
広域化を必要とするほど職員が減った自治体では、現状分析、データ整理、仕様統一、庁内説明、議会説明を行う職員も不足する。
広域化は、開始前に相当の行政能力を必要とする。
6-7 参加が任意である
案件ごと、年度ごとに参加を決める方式は柔軟だが、契約数量と事務分担が安定しない。
協定があっても、恒常的な共同運営主体にはならない。
7 緩やかな連携は、人材の絶対数を増やさない
複数自治体が合同研修を行っても、新しい技術者が採用されるわけではない。
技術支援協定を結んでも、圏域内の土木職、電気職、機械職、水質職の総数は増えない。
一人の専門職員を複数自治体で活用すれば、支援を受けられる自治体は増える。しかし、その職員が同時に対応できる案件数には限界がある。
また、共同採用や合同説明会を行っても、採用市場に存在する技術者の母集団が増えるわけではない。広域組織と構成自治体が別々に採用を続ければ、圏域内で同じ応募者を取り合う可能性もある。
したがって、「技術者を共有する」という表現だけで人材不足が解消したと判断してはならない。
確認すべきなのは、共有対象となる専門職が何人いるか、通常業務を抱えたまま支援するのか、年間何件対応できるか、代替者がいるか、退職後に誰が引き継ぐかである。
8 用水広域・末端分散型の実態
8-1神奈川県東部圏域―施設と水運用は一体化へ進むが、経営主体は五つのままである―
神奈川県東部圏域では、神奈川県企業庁、横浜市水道局、川崎市上下水道局、横須賀市上下水道局、神奈川県内広域水道企業団の五事業者が、相模川・酒匂川の水源と取水・浄水・送水施設を相互に関連させながら水道事業を運営している。
県営水道、横浜市、川崎市、横須賀市の四水道事業者は、県内年間給水量の約九割を担い、そのうち約半分に相当する水量を神奈川県内広域水道企業団が供給している。企業団は四事業者へ用水を供給する上流組織であるが、四事業者もそれぞれ自己の水利権、浄水場、配水施設を保有している。このため、単純な「企業団が水をつくり、構成団体が配る」という二分構造ではなく、企業団施設と各水道事業者の自己施設が組み合わされた広域水道システムとなっている。
神奈川県内水道5事業者による連携の取組 ~将来を見据えた水道システムの再構築(引用元:神奈川県 企業局 水道部計画課 )
五事業者は、外部有識者を交えた神奈川県内水道事業検討委員会の検討を引き継ぎ、2010年に「5事業者水道事業連携推進会議」を設置した。2015年には五事業者共同の広域水質管理センターを設置し、水質検査・水質監視の共同化を実際に開始している。したがって、神奈川県東部圏域の連携は、会議と情報共有だけにとどまるものではない。
神奈川県水道広域化推進プラン 令和5年3月(引用元:政策局政策部土地水資源対策課)
その後、五事業者は、将来の水需要減少、施設老朽化、電力使用量、水質事故への対応を踏まえ、「水道システムの再構築」を進める方針を定めた。中心となるのは、浄水場の統廃合、上流取水の優先的利用、取水・浄水・送水の一体的運用である。
2024年5月に策定された「5事業者の施設整備計画」では、五事業者が保有する対象浄水場を十一浄水場から八浄水場へ再編し、水道事業者側の老朽化した三浄水場を廃止対象とする一方、神奈川県内広域水道企業団の浄水場を増強し、送水管その他の必要施設を整備する計画が具体化された。個々の事業者がそれぞれ既存施設を更新するのではなく、圏域全体の水量と施設能力を見ながら、存続施設、廃止施設、増強施設を組み合わせようとしている。
神奈川県内水道5事業者による連携の取組 ~将来を見据えた水道システムの再構築(引用元:神奈川県 企業局 水道部計画課 )
さらに、平常時から相模川水系と酒匂川水系を一体的に運用し、取水地点、原水水質、電力使用量、浄水場能力を考慮して、どの施設でどれだけ処理するかを調整する仕組みが検討されている。これは、個別施設の共同利用より一段深く、物理的な水道システムを五事業者全体で最適化しようとする取組である。
ただし、この一体的運用は、五事業者を一つの経営主体へ統合する計画ではない。
まず「水利権・浄水場は各事業者が保有する」と明記されている。
神奈川県内水道5事業者による連携の取組 ~将来を見据えた水道システムの再構築(引用元:神奈川県 企業局 水道部計画課 )
廃止対象となる浄水場も、増強される企業団浄水場も、その所有者が一つに統一されるわけではない。各事業者の水道料金、企業債、職員、配水池、配水管、給水装置、工事発注、予算、議会による審議も、それぞれの制度に残る。
したがって、五事業者が取水・浄水・送水を一体的に運用するには、経営統合とは異なる組織間調整が必要となる。
ある事業者が保有する水利権を別の事業者の浄水場で利用する場合の整理、廃止施設と増強施設の費用負担、電力費・薬品費の配分、施設停止時の代替運用、更新投資の時期、運用変更によって利益を受ける事業者と負担が増える事業者の調整である。また、上流取水への変更には、水道事業者間の合意だけでなく、河川管理者、農業・漁業その他の利水関係者との調整が必要になる。五事業者の施設整備計画も、河川流量やダム運用への影響を整理し、関係機関との合意形成を図る必要があるとしている。
5事業者の「施設整備計画」 令和6年5月 (引用元:5事業者水道事業連携推進会議)
神奈川県東部圏域は、単なる用水供給と末端給水の分離を超え、複数事業者が保有する上流施設を一つの水道システムに近い形で運用しようとしている。
一方で、資産、会計、人事、料金決定権を一つの組織へ移してはいない。そのため、物理的・技術的な統合が先行し、法的・財政的な経営主体は分かれたまま残る型と位置付けられる。
8-2 福岡都市圏――広域水源への依存度が構成団体ごとに大きく異なる
福岡地区水道企業団は、福岡都市圏の水源開発、取水、浄水、広域送水を担う水道用水供給事業者である。企業団の公式な構成説明では、六市、七町、一企業団、一事務組合によって構成されている。
企業団の事業(引用元:福岡地区水道企業団)
企業団は、筑後川水系のダム、那珂川水系、多々良川水系、海水淡水化施設などによって広域水源を確保し、牛頸浄水場や海水淡水化センターなどで処理した水を構成団体へ送っている。構成団体は受水後の配水池、ポンプ場、配水管、給水装置、料金徴収、住民窓口を担う。
企業団の組織(引用元:福岡地区水道企業団)
企業団は、福岡都市圏内に水需要を満たす大河川がなく、渇水が繰り返されていたことを背景として1973年に設立され、筑後川からの導水による用水供給を1983年に開始した。各市町が個別に広域水源、導水施設、浄水場を整備するのではなく、企業団が上流施設を共同で保有・運営することにより、重複投資を避けることが制度形成の中心にあった。
福岡地区水道企業団 水道ビジョン2018 福岡都市圏の安心で快適な住民生活と持続的な発展を支える水道2019年1月(引用元:・福岡地区水道企業団)
しかし、企業団が設立された後も、構成団体の自己水源が一律に廃止されたわけではない。
福岡市をはじめ、各構成団体は、河川、地下水、ダム、自己浄水場などをそれぞれ保有している。その規模と企業団受水への依存度は、構成団体によって大きく異なる。
「水道ビジョン2018」では、篠栗町、新宮町、宗像地区、糸島市などについて、2001年から2013年にかけて企業団受水割合が上昇し、自己水源等の割合が低下した経過が示されている。例えば、同資料に掲載された2013年の値では、企業団受水割合は福岡市が3割程度、篠栗町で五割程度、太宰府市は七割を超えていた。これは過去の特定年度の値であり、現在の受水割合そのものではないが、同じ企業団の構成団体であっても、自己水源と企業団受水の組合せが均一でないことを示している。
福岡地区水道企業団 水道ビジョン2018 福岡都市圏の安心で快適な住民生活と持続的な発展を支える水道 2019年1月 (引用元:福岡地区水道企業団)
2022年の企業団議会では、井戸などの小規模水源について、枯渇や取水量低下により廃止・縮小された例があることが答弁されている。一方、企業団側は、各構成団体が将来の水需要、渇水・事故のリスク、経済性を踏まえ、企業団受水を含めて必要な水源を確保するものとの立場を示した。企業団の使命は、構成団体と取り決めた協定水量を安定的に供給することであり、個々の自己水源を残すか廃止するかは、原則として各構成団体の判断に残されている。
令 和 4 年 第 2 回 福岡地区水道企業団議会会議録 (定 例 会)令和4 年 8月19日(開会) 8月22日(閉会)(引用元:福岡地区水道企業団)
この制度では、構成団体が自己水源を縮小すれば、自己浄水場の運転費や更新費を減らせる可能性がある。一方、企業団受水の比率を高めても、自己水源、配水池、ポンプ場などを直ちに廃止できなければ、企業団への支払と自己施設の固定費が一定期間重なる。
反対に、構成団体が自己水源を優先し、企業団からの実受水量を減らしても、企業団が保有するダム関連施設、導水施設、牛頸浄水場、海水淡水化施設、送水管の費用が同じ割合で減少するわけではない。
この固定費を回収する仕組みとして、福岡地区水道企業団は、基本料金と使用料金からなる二部料金制を採用している。
令和6年度 第1回料金審議会 用水供給事業体の料金単価(引用元:静岡県大井川広域水道企業団)
令和四年度の統計年報では、基本料金は基本水量一立方メートル当たり一五七円、使用料金は実使用水量一立方メートル当たり一〇円とされている。基本水量は、構成団体ごとの一日最大供給水量の六七・五%に当該月の日数を乗じて算定する年間責任水量制である。したがって、実際の使用水量が減った場合でも、基本水量に基づく負担は残る。
令和4年 度版 福岡地区水道企業団 水道用水供給事業統計年報 (引用元:福岡地区水道企業団)
これは単なる不使用水量への課金ではない。
企業団は、実際の受水量にかかわらず、構成団体へ協定水量を供給できるよう、水源、導水、浄水、送水の能力を維持しなければならない。その資本費や固定的な維持管理費を、実使用水量だけで回収すると、受水量が減少した年度に料金収入が大きく変動し、施設維持が不安定になるためである。
一方で、基本料金の比重が大きい制度では、構成団体が節水や自己水源の利用によって受水量を減らしても、短期的な受水費削減効果は限定される。構成団体側から見れば、広域水源を確保する費用と、自己施設を維持する費用を同時に管理しなければならない。
福岡都市圏は、広域用水の必要性が非常に強い地域であるが、それでも企業団が各構成団体の自己水源、浄水場、配水施設を一元的に決定する制度にはなっていない。
したがって、この圏域は、広域水源と用水供給施設を企業団が強く集約する一方、自己水源の存廃、末端施設、料金、人員、投資判断は構成団体に分かれている型である。
8-3阪神水道企業団型―強い用水供給と、分散した末端経営―
阪神水道企業団は、神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市、明石市を構成市とし、淀川水系を水源とする大規模な浄水・送水施設を共同で運営する水道用水供給組織である。
経営戦略2024(引用元: 阪神水道企業団)
2025年度には明石市への新規供給も開始され、既存施設を活用しながら供給区域を拡大している。一方、企業団が担当するのは主として水源、浄水、構成市の受水地点までの送水であり、受水地点より下流の配水施設、管路、給水装置、料金、住民対応、職員配置は、原則として各構成市の水道事業に残っている。
経営戦略2024(引用元: 阪神水道企業団)
企業団は、構成市の需要量調査を踏まえ、2027年度に施設規模を適正化し、猪名川浄水場の一系統相当を停止する計画を進めている。管路やポンプ設備についても更新時期に合わせて規模を縮小し、2024年度から2035年度までの十二年間で施設整備費などを約130億円抑制すると見込んでいる。これは、上流施設については、構成市全体の需要を集約して施設能力を調整できることを示している。
経営戦略2024(引用元: 阪神水道企業団)
ただし、企業団の費用は、実際の給水量に応じる変動費だけでなく、職員給与費、施設管理費、建設改良費など、給水量が減っても直ちには減少しない固定費を含む分賦金によって構成市が負担する。固定費は構成市から要請された分賦基本水量を基礎として配分されるため、ある市が自己水源を拡大して受水量を減らしても、その減少分に比例して企業団全体の施設費や更新費が直ちに減るわけではない。施設規模の適正化と費用負担の見直しを、構成市間で調整しなければならない構造である。
経営戦略2024(引用元: 阪神水道企業団)
構成市側の水源構成と施設再編方針も一様ではない。神戸市は上ヶ原浄水場を再整備して自己水源を活用し、阪神水道企業団からの受水量を減らす方針を持つ。
神戸水道経営戦略2024年5月(引用元:神戸市水道局)
尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市は、それぞれ自己浄水場又は自己水源と阪神水道企業団、兵庫県営水道などを異なる割合で組み合わせている。
西宮市水道事業 投資・財政計画 平成28(2016)年度〜 令和10(2028)年度 令和7年度 見直し 令和7年12月(引用元:西宮市上下水道局)
あますいビジョン2029 あますい実施計画 <後期> (2025年度~2029年度)令和7年3月 (引用元:尼崎市公営企業局)
明石市は、阪神水道企業団からの新規受水と県営水道の増量によって明石川河川水を廃止し、市内浄水施設と送配水系統を再編する計画を進めている。
明石市水道事業経営戦略令和8年3月 (引用元:明石市上下水道事業経営審議会)
このため、企業団は上流側の浄水・送水施設について、需要予測、施設更新、ダウンサイジングを広域的に判断できるが、各市の自己水源を残すか廃止するか、受水量をどこまで変更するか、末端施設をどう更新するか、技術職をどこへ配置するか、料金をどう設定するかまでは単独で決定できない。各市の判断はそれぞれの施設状態や財政から見れば合理性を持つ一方、その結果は企業団の施設能力、固定費、分賦金配分にも影響する。
阪神水道企業団型の特徴は、広域組織の規模や技術力が不足していることではない。水源、浄水、送水は強く広域化されている一方、自己水源、末端施設、料金、人員、財政の最終判断は六市に分かれていることである。
現行制度は、企業団施設と六市の自己施設を一つの資産・財政・人事計画に載せ、圏域全体として存廃や更新順位を最終決定する経営統合にはなっていない。
したがって、この圏域は、強い上流広域化が成立していても、水道事業全体の責任まで一体化されたとは限らないことを示している。
8-4北千葉地域―基本水量による固定費負担が明確な用水供給型―
北千葉広域水道企業団は、千葉県、松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、習志野市、八千代市の一県七市によって構成される水道用水供給事業者である。
北千葉広域水道企業団広報誌平成25年3月1日 第6号(引用元:北千葉広域水道企業団)
企業団は、利根川水系江戸川を主な取水先とし、北千葉浄水場で浄水した水を千葉県営水道と七市の水道事業へ供給する。家庭や事業所への最終的な給水は、千葉県営水道又は各市水道が行う。企業団が直接、一般利用者の水道料金を徴収して末端給水を行う仕組みではない。
令 和 6 年 度 水道用水供給事業年報(引用元:北千葉広域水道企業団)
北千葉地域の特徴は、末端給水事業者の一つとして千葉県営水道が含まれていることである。
したがって、制度上は、北千葉広域水道企業団が広域用水をつくり、千葉県営水道又は各市水道が受水し、県営水道又は市営水道の利用者へ給水する構造になる。県営水道自体が複数市域にまたがる広域的な末端事業であるため、単独市だけで構成される用水供給地域より、受水者の規模と性格に差がある。
構成団体ごとの負担規模も均一ではない。
令和六年度年報では、年間基本水量の合計約一億八二四四万立方メートルに対し、千葉県分は約七七八五万立方メートルで、全体の約四三%を占める。残りを七市がそれぞれ負担している。県営水道という大口受水者と、市営水道が同じ企業団の中に存在する、非対称な構成である。
令 和 6 年 度 水道用水供給事業年報(引用元:北千葉広域水道企業団)
北千葉広域水道企業団の用水供給料金は、基本料金と使用料金からなる二部料金制である。
令和六年度の基本料金単価は一立方メートル当たり五三円、使用料金単価は実使用水量一立方メートル当たり一〇円である。基本料金は、構成団体ごとに定められた基本水量を基礎として算定され、使用料金は実際の使用水量に応じて算定される。
令 和 6 年 度 水道用水供給事業年報(引用元:北千葉広域水道企業団)
令和六年度の給水収益では、基本料金が全体の約八五%、使用料金が約一五%を占めている。
令 和 6 年 度 水道用水供給事業年報(引用元:北千葉広域水道企業団)
したがって、企業団の料金収入は、実際に使用された水量に応じる部分より、構成団体別に設定された基本水量に基づく部分の方がはるかに大きい。これは、企業団が確保している水源、北千葉浄水場、取水・導水施設、送水管、調整池などの固定費を、安定的に構成団体へ配分する仕組みである。
この方式では、ある構成団体の実使用水量が減少しても、基本水量が変更されない限り、基本料金負担は同じ割合では減少しない。
一方、基本水量を大幅に減らせば、その分の固定費を他の構成団体へ配分するのか、企業団施設を縮小するのか、料金単価を改定するのかという問題が生じる。用水供給事業者にとっては、個別年度の実使用量ではなく、構成団体へいつでも供給できる能力を維持する費用が大きいからである。
北千葉広域水道企業団は、設立以来、水源開発と施設建設を進め、創設事業完了後は事業の重点を建設から維持管理へ移してきた。しかし、創設期に整備した浄水施設、導水管、送水管の老朽化が進んだため、2026年3月に公表した「北千葉広域水道ビジョン」では、今後の事業の基軸を「維持管理」から「再構築」へ転換するとしている。
水道事業ビジョン(引用元:北千葉広域水道企業団)
新しいビジョンでは、取水・浄水場などの基幹施設の再整備を検討し、地域の水需要に応じて、安全で効率的な施設を計画的に整備する方向が示されている。これは、既存施設をそのまま同規模で更新するのではなく、将来需要、施設稼働率、更新中の運用を踏まえて、施設能力と構成を再検討する段階に入ったことを意味する。
ただし、企業団の再構築計画が直接対象とするのは、企業団が保有する水源、取水、浄水、導水、送水施設である。
千葉県営水道及び七市が保有する自己水源、浄水場、受水施設、配水池、ポンプ場、配水管、料金制度、人員配置は、それぞれの事業体が管理する。企業団が北千葉浄水場や送水管を再構築しても、各受水事業者の末端施設が自動的に同じ資産台帳や更新計画へ移るわけではない。
そのため、企業団施設の能力を適正化するには、企業団側の将来需要予測だけでなく、千葉県営水道及び各市が、今後どれだけ企業団水を受け、自己水源をどの程度維持するかを継続的に確認しなければならない。
ある市が自己水源を縮小して企業団受水を増やす場合には、企業団の送水能力と受水施設を確認する必要がある。反対に、地下水その他の自己水源を維持して受水量を減らす場合には、企業団の基本水量、固定費回収、施設規模との整合を取る必要がある。
北千葉地域は、用水供給事業と末端水道事業が法的・財政的に分かれ、基本水量によって広域施設の固定費を構成団体へ配分する構造が、料金資料上も明確に確認できる型である。
企業団は今後、自らの施設を「再構築」する段階へ進むが、圏域全体の最適化を実現するには、企業団施設の更新計画だけでなく、県営・市営水道の自己水源、末端施設、受水量、更新時期を相互に接続する必要がある。
経営主体が分かれたままでは、企業団は構成団体の自己施設を直接廃止できず、構成団体も企業団の固定費を単独で変更できない。この境界を、基本水量の見直し、需要予測の共有、施設能力の協議によってどこまで調整できるかが、北千葉地域の実効性を左右する。
8-5愛知県型―広域用水網を基礎に、施設・管理・経営の統合を段階的に検討する―
愛知県では、県企業庁の水道用水供給事業が、名古屋市周辺の一部や三河山間地域などを除く県内の広い範囲に用水を供給している。
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
一方、受水後の配水、給水装置、料金、施設更新、人事は市町村等の水道事業者に残っている。県の水道広域化推進プランは、県内の水道事業者を尾張、西三河、東三河、知多の地域などに区分し、県営用水と市町村水道を含めた施設共同化、管理の一体化、経営の一体化を検討対象とした。
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
したがって愛知県型は、既存の広域用水組織を持ちながら、末端事業までをどの範囲で一体化するかが次の課題となる型である。
県の試算では、2021年度から2072年度までの52年間に、浄水場などの施設共同化によって約322億円、料金関係業務、浄水施設維持管理、会計システムなどの管理一体化によって年間約8億6千万円の削減効果が見込まれた。また、事務部門を930人から837人へ見直し、93人を他の必要業務へ活用できる可能性も示された。ただし、これは県が共通条件を置いて行った概算であり、実際の統合計画や職員削減を決定したものではない。県自身も、広域化の方式や参加団体によって効果は大きく変わり、個別具体の検討が必要であると明記している。
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
特に施設統廃合の組合せは、各地域ですでに合意された計画ではなく、県が試算のために設定したものである。自己浄水場から県営水道へ転換すれば、市町村側の更新費や運転費は減る可能性があるが、県営水道への受水費は増える。
このため、県の試算も、廃止施設の費用だけでなく、受水量増加に伴う費用を含めている。さらに、連絡管、ポンプ場、受水施設、残存施設の縮小、統合後の運転体制、民間業者の委託費用高騰の長期的な考慮まで具体化しなければ、52年間の試算を実施計画へ移すことはできない。
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
人員についても、試算上の93人は主として重複する事務部門の集約効果であり、土木、電気、機械、水質などの技術職を一律に削減する想定ではない。県のプランは、施設更新量の増加や緊急対応力の確保を考慮し、技術職を単純な削減対象から外している。これは、経営統合によって総務、会計、料金などを集約できても、現場施設を維持し、設計、工事監督、運転、水質を判断する技術職は引き続き必要であることを示している。
愛知県水道広域化推進プラン 2023年3月(引用元:愛知県)
その後、愛知県では、単なる試算から一歩進み、西三河地域で県と十市町による「矢作川流域上下水道広域連携協議会」を設立し、施設共同化、管理の一体化、経営の一体化と新組織のあり方を検討している。
矢作川流域 上下水道一本化 基本方針2025年12月 (引用元:矢作川流域 上下水道広域連携協議会)
2026年1月には東三河地域でも準備会を設置した。ただし、県議会や知事会見でも、組織形態、設立時期、資産の扱い、委任する業務は今後決める事項とされている。現時点では、県内全域の経営主体が統合された段階ではなく、地域ごとに具体的な受け皿組織を設計している段階である。
豊川流域 上下水道広域連携協議会(仮称)準備会規約(引用元:愛知県建設局上下水道課・愛知県企業庁水道計画課)
愛知県型の特徴は、県営用水という既存の広域基盤がある一方、市町村の自己水源、料金、資産、人員が分かれていることである。施設統廃合の計算上の効果は示されているが、それを実現するには、受水費が増える自治体、自己水源を失う自治体、施設投資の利益を受ける自治体の間で、資産、人員、料金、財源を引き受ける新たな経営主体を具体化する必要がある。
9 緩やかな連携・限定共同化の実態
9-1神奈川県―共同購入の規模を大きくしても、従来価格を下回らなかった―
神奈川県の県央部・県西部圏域では、水道メーターの共同購入を検討した。
2024年の調査では、共同購入を前提に取得した見積額が、各水道事業者の従来の実績額より高かった。共同購入を希望したのは四事業者で、十三事業者は判断できる状況にないと回答し、一事業者は参加意向がなかった。各事業者で入札・契約時期も異なっていた。
水道事業の基盤強化に向けた取組 (広域連携等の取組を中心に)(引用元: 神奈川県政策局政策部土地水資源対策課水政室 神奈川県健康医療局生活衛生部生活衛生課)
水道事業の基盤強化に向けた取組 (広域連携等の取組を中心に)(引用元: 神奈川県政策局政策部土地水資源対策課水政室 神奈川県健康医療局生活衛生部生活衛生課)
その後、意向や地理条件を考慮して参加候補をグループ化し、より具体的な条件で見積りを取ったが、結果は同様だった。県は、契約時期をそろえる調整負担がある一方、期待した費用削減効果が得られなかったため、直近での共同購入を見送るとした。
水道事業の基盤強化に向けた取組 (広域連携等の取組を中心に)(引用元: 神奈川県政策局政策部土地水資源対策課水政室 神奈川県健康医療局生活衛生部生活衛生課)
この事例は、共同購入が失敗したというより、実施前の検証が機能した事例である。
問題になるのは、検討会を開催した事実だけを「広域連携実績」と数え、共同購入が見送られた理由、従来価格との差、調整工数を公表しない場合である。
9-2愛媛県―基本協定があっても、参加団体は年度ごとに変わる―
愛媛県の漏水調査共同委託の検討では、直ちに共同委託するには多くの課題があり、必ずしも費用削減につながらないとの意見が示された。
そこで、まず基本協定を結び、実際に調査が必要となった団体だけが年度ごとに共同発注へ参加する方式が検討された。資料では、ある年度は三市町、翌年度は二市町が参加する例が示されている。
愛媛県水道広域化推進 プラン検討委員会 第4回部会 令和3年11月29日開催(引用元:愛媛県総務部総務管理局市町振興課 )
この方式には、参加可能な自治体から始められる利点がある。
しかし、協定締結団体数と実際の共同発注団体数は一致しない。契約数量も毎年度変動し、代表自治体の事務負担も安定しない。
したがって、愛媛型では、基本協定の有無だけでなく、年度別の参加団体、契約額、単独発注との差、代表自治体の事務時間を示さなければ、実効性を判断できない。
協定は共同化の入口であって、常設の共同調達機関ではない。
9-3滋賀県―「ゆるやかな広域連携」を、将来の経営統合へどう接続するか―
滋賀県の広域化推進プランは、「ゆるやかな広域連携」を明示的に掲げる。
対象には、会計・積算などのシステム共同化、水道メーターや薬品の共同購入、施設共同利用の調査、人材確保、合同採用広報、共同研修、給水装置工事事業者審査の共同化などが含まれる。
同時に、将来的な全県一水道を目指し、料金を直ちに統一しない「経営の一体化」が望ましいとの方向性も示している。プラン期間中に緩やかな連携を進め、モデル事業を通じて、合意できた地域から経営統合等へ進む構想である。
滋賀県水道広域化推進プラン 概要版(引用元:滋賀県)
この構想の強みは、緩やかな連携を最終形とせず、標準化と信頼形成の段階として位置付けている点にある。
一方、実効性を確保するには、中間レビューで「協議したか」ではなく、共同契約へ移った件数、削減額、業務時間、共通仕様の採用率、専門職員の配置を測る必要がある。
共同研修や合同広報だけが続き、契約、施設、予算、人事が各自治体に残り続ければ、「将来の統合に向けた準備」という説明が長期間固定化するおそれがある。
9-4山口県―試算上は効果があっても、共同化の強さによって規模が異なる―
山口県の広域化推進プランでは、次亜塩素酸ナトリウムの共同購入、水質検査の共同委託、台帳システム及び会計処理システムの共同化について、一定の費用削減効果が期待できると整理している。
しかし、事務の広域的処理による削減額は、施設共同化や経営統合と比べて小さいとも明記する。施設共同化は効果が大きい反面、適地が限られ、多岐にわたる調整と初期投資を必要とする。経営統合は、人員配置や技術継承の効果を期待できるが、さらに広範な調整を要する。
山口県の整理は、広域化の方式によって、効果と難易度が段階的に異なることを正面から示している。
共同購入は始めやすいが効果は限定的である。
施設共同化は削減効果が大きいが、地理と更新時期に左右される。
経営統合は最も広い範囲を調整できるが、料金、人員、資産、条例まで扱わなければならない。
山口県水道ビジョン 広域連携シミュレーション編(引用元:山口県)
したがって、小規模な共同化を多数実施したことを、経営統合と同じ効果として扱うことはできない。
9-5静岡県五市―導入日、事業費、削減見込みまで決まった共同化―
掛川市、菊川市、牧之原市、御前崎市、袋井市は、窓口業務と上下水道料金収納管理システムの共同化を進めている。
2025年8月時点の県資料では、準備期間を2026年3月から2027年3月、共同導入予定日を2027年4月1日、概算事業費を15億7千万円とし、単独発注と比較した今後五年間の削減見込みを約1億6千万円としている。
静岡県水道広域化推進プラン 別冊 令和7年11月版 静岡県(引用元:静岡県)
これは、参加自治体、対象業務、導入時期、費用、削減見込みが明示された第四段階の共同化である。
ただし、システムと窓口を共同化しても、各市の料金決定権、施設計画、人事、工事発注まで統合されるわけではない。
実施後には、当初の削減見込みと実績を比較し、追加改修費、データ移行費、各市に残った業務、制度差を維持するための設定費を検証する必要がある。
検討中の案件と、導入日まで定まった案件は、広域化実績として明確に区別すべきである。
10 共同施設・地域条件型
10-1 鳴門市・北島町―更新時期と施設条件が一致した共同浄水場―
徳島県の鳴門市と北島町は、それぞれの既存浄水施設が老朽化し、更新時期と施設整備上の課題が重なったことから、共同浄水場整備を具体化した。
鳴門市・北島町共同浄水場整備事業について(引用元:鳴門市)
県プランでは、両団体が別々に更新する場合の工事費を合計約132億円、共同整備を約115億円とし、約17億円の削減を見込む。内訳は鳴門市分約9億円、北島町分約8億円である。
徳島県水道広域化推進プラン (案) 令和5年 (引用元: 徳島県)
この事例は、施設共同化の条件を明確に示す。
両事業体に更新需要があること、地理的に共同施設から送水できること、必要能力と処理方式を調整できること、費用負担と事業主体が決まることが必要である。
成功した結果だけを見て、他地域でも共同浄水場を簡単に整備できると考えてはならない。
むしろ、更新時期が一致する限られた機会を捉え、施設能力、送水経路、負担割合を具体化できたから実施段階へ進んだ事例である。
10-2 中間市・鞍手町・北九州市―浄水場廃止には代替施設の整備が必要になる―
福岡県の広域化シミュレーションでは、中間市と鞍手町が北九州市から用水供給を受け、中間市西部浄水場と鞍手町中央浄水場を廃止する構想が示されている。
計画水量は一日約1万3千立方メートルとされ、設備更新時期を踏まえて2038年度までに順次供給を開始する想定である。
福岡県水道広域化推進プラン 令和5年3月 (引用元:福 岡 県)
しかし、浄水場を廃止するには、北九州市側の送水能力、長距離送水管、受水施設、配水池、圧力条件を整えなければならない。
福岡県の資料も、シミュレーションに含まれない受水・配水施設などがあることを示している。
したがって、廃止する浄水場の更新費だけを削減額として示すのは不十分である。
代替する送水施設の建設費、企業債、受水費、既存施設の除却費、移行期間中の重複費を含めて比較しなければならない。
10-3 熊本県―施設を集中させない方が合理的な地域がある―
熊本県では、水道水源のおおむね八割を地下水が占め、良質な小規模水源と施設が広域に点在する。
県プランは、施設を統廃合するために新たな送配水管を整備すると多額の投資を要するため、施設共同設置・共同利用による削減効果を得にくい地域条件を示している。
熊本県水道広域化推進プラン 令和5年3月 (引用元:熊本県)
また、法適用事業者の約六割に当たる十五事業者で、技術職員を配置していないか、技術職員の平均勤続年数が五年以下という課題も示されている。
熊本県水道広域化推進プラン 令和5年3月 (引用元:熊本県)
熊本県型では、浄水場を一か所へ集めることより、分散施設を維持するための人材、台帳、設計、点検基準を広域化する方が合理的な場合がある。
これは「広域化しない」という意味ではない。
施設は地域に残し、資産情報、専門職、更新計画、調達、技術支援を広域組織へ集約する多層型が考えられる。
広域化の目的は施設数を減らすことではなく、地域条件に応じて施設を残す判断も含め、継続的に決定できる体制をつくることである。
10-4 長崎県―地理的分断が大きい地域では、施設統合の範囲が限られる―
長崎県は、離島と半島が多く、大規模水源に乏しく、給水区域が地理的に分断されるという条件を持つ。
県プランは、この条件から、経営効率化に大きな効果をもたらす浄水場等の統廃合が限定的になると明記する。そのため、専門人材と技術継承の確保を重視し、事務及び維持管理の共同化を段階的に進める方針を示している。
長崎県水道広域化推進プラン 令和5年3月 (引用元:長 崎 県)
県プランには、技術職員の高齢化・不足、専門職不足、技術継承困難、離島の調達コスト、施設の広域分散などが列挙されている。
一方、県自身も、ソフト面の効果を最大化するには一部業務だけでなく、経営・業務の一体化を目指す必要があるが、そのハードルは高いと分析している。
長崎型では、本部が人事、財政、設計基準、台帳、共同調達を担い、島・半島ごとの地域拠点が現場管理を担う構造が想定されている。
長崎県水道広域化推進プラン 令和5年3月 (引用元:長 崎 県)
単一の中央施設へ物理的に集約できない地域ほど、施設所有の統合と、施設配置の集中を区別する必要がある。
11 責任統合型の実態
11-1 大阪広域水道企業団型―用水供給組織が末端事業を段階的に承継する―
大阪広域水道企業団は、大阪府から水道用水供給事業と工業用水道事業を承継して発足した広域組織である。その後、希望する市町村の末端水道事業を段階的に統合し、2017年度以降、四條畷市、太子町、千早赤阪村をはじめとする市町村域水道事業を承継してきた。2025年4月には岸和田市、八尾市、富田林市、柏原市、高石市の五市を統合し、企業団が末端給水を担う地域は十九市町村となった。
5団体(岸和田市・八尾市・富田林市・柏原市・高石市)との水道事業の統合について(R7.4統合)「統合案(概要版)」についてはこちら (引用元:大阪広域水道企業団)
この型では、統合した地域について、企業団が用水を市町村へ販売するだけではなく、配水池、ポンプ場、配水管、給水装置、料金収納、工事発注などの末端業務も担う。したがって、広域用水費と市町村施設費を別組織間で交渉するのではなく、企業団内部の施設計画と財政計画として比較できる範囲が広がる。市町村境を越えた送配水系統の見直し、施設の共同化、設計・工事部門の集約も、統合前より実施しやすくなる。
3団体(泉大津市・箕面市・門真市)との水道事業の統合に向けての検討、協議について 統合案(概要版)(引用元:大阪広域水道企業団)
ただし、統合日に旧市町村の制度がすべて統一されるわけではない。2025年に統合した五市でも、当初は市ごとに開設した料金振替口座を使用し、その後、既存の統合地域で使用していた共通口座へ集約している。
水道料金のお支払いに口座振替をご利用のお客さまへ(引用元:大阪広域水道企業団)
また、企業団は従来、水道事業ごとに異なっていた給水装置工事基準、手数料、検針・請求時期、料金システムを段階的に標準化している。統合とは、市町村ごとの業務をそのまま並べて保有することではなく、統合後に業務手順、システム、材料、設計基準をそろえていく長期的な作業である。
料金についても、企業団への統合と全地域の料金統一は同じではない。統合地域ごとに施設状態、企業債、原価、料金水準が異なるため、企業団が同一の組織として経営していても、地域別の料金改定が行われることがある。企業団が阪南市域などで個別に料金改定を行っていることは、経営主体を一つにすることと、すべての原価差を直ちに均一化することを区別していることを示している。
大阪型は、一度に府内全自治体を統合する方式ではない。統合効果を施設整備計画、経営シミュレーション、事業運営体制から個別に検討し、合意できた自治体から順次承継する。2026年1月には、泉大津市、箕面市、門真市について、2027年4月の統合を目標とする統合案が取りまとめられた。三市の試算では、単独経営と比べた総費用の縮減効果を合計約44億7千万円としているが、この金額には広域化に伴う国交付金の増加も含まれる。
大阪広域水道企業団と泉大津市・箕面市・門真市との 水道事業の統合に向けての検討、協議 統 合 案(引用元:大阪広域水道企業団)
大阪広域水道企業団型の強みは、既存の用水供給組織を、段階的に末端事業の受け皿へ転換できることにある。一方で、参加しない自治体との境界は残り、統合地域間にも料金、施設、業務基準の差が残る。大阪型は、統合した瞬間に府域一水道が完成する方式ではなく、自治体を順次承継し、統合後に施設、システム、人材、業務を標準化していく方式である。
11-2 奈良県広域水道企業団型―資産、負債、職員、システムを一つの制度へ移す―
奈良県広域水道企業団は、奈良県の水道用水供給事業、県内二十六市町村の水道事業、奈良広域水質検査センター組合の水質検査業務を統合し、2025年4月から事業を開始した。奈良市と葛城市への水道用水供給を行う一方、参加市町村の区域では末端給水も担う。県と市町村が六年以上にわたり協議し、新しい特別地方公共団体を設立して、用水供給と末端水道を同じ経営主体に載せた型である。
奈良県広域水道企業団の事業運営の基本方針基本計画附属資料(引用元:奈良県広域水道企業団)
基本計画では、構成団体が水道事業活動によって形成した資産、資本、負債を、原則として企業団へ引き継ぐ。水質検査センターの機器も企業団が承継する。一方、水道事業に使用していない土地や施設などは一定の条件で引継ぎ対象から除外される。また、資産台帳の不整合をそのまま企業団へ持ち込まないよう、各団体は統合前に帳簿を整理し、不要資産の除却処理を行うこととされた。
累積欠損金についても、すべてを無条件に共同負担へ移したわけではない。原則として、統合前に利益剰余金、料金改定又は一般会計繰入れによって解消することとし、地理や管路密度などの構造的に不利な条件によるものに限って、一定の例外を設けた。旧簡易水道施設の企業債、地域独自の減免、企業誘致に伴う施設整備費などについても、旧市町村の一般会計負担を残す規則が設けられている。これは、統合前の政策判断や地域固有費用を、直ちに全参加団体へ転嫁しないための制度である。
奈良県広域水道企業団基本計画 (改定案) 令和5年2月 (令和6年7月改定) (引用元:奈良県広域水道企業団設立準備協議会)
一方、旧市町村が保有していた内部留保資金は、従来の経営努力と将来の管路更新に備えた資金という性格を持つ。このため、引継ぎ資金が一定額を上回る旧事業区域については、統合当初の十年間、その区域内の管路更新などへ優先的に投資できるルールが設けられた。資産と財源を一つの企業団へ移しながら、統合前に蓄積した資金を完全に均等化せず、旧区域への還元を一定期間認める調整方式である。
第5回 奈良県広域水道企業団設立準備協議会 資料令和4年11月29日(火)(引用元:奈良県広域水道企業団)
業務面では、総務、人事、財務、経理、広報などを本部へ集約し、水道料金、財産、財務会計、人事給与、設計積算、給水工事受付、水質管理などのシステムを統一する計画が組まれた。ただし、住民窓口は統合当初から一斉に廃止せず、旧市町村の窓口を維持し、一定期間後にデジタル化と併せて再編する。企業団は独自の正規職員採用も開始しており、行政職と土木などの技術職を企業団固有の人材として確保する段階へ進んでいる。
奈良型の特徴は、資産、負債、内部留保、一般会計負担を曖昧なまま一つにしたのではなく、統合前の差を明示した上で、共通負担にする部分、旧区域へ還元する部分、旧自治体に残す部分を制度化したことである。統合によって地域差が消えたのではない。地域差を一つの企業団の会計、施設、人事計画の中で調整できるようにした点に実効性がある。
11-3 広島県水道広域連合企業団型―組織統合後に、固有職員と専門部門を形成する―
広島県水道広域連合企業団は、県と参加市町が経営していた水道事業、水道用水供給事業、工業用水道事業を一つの特別地方公共団体へ移し、2023年4月から事業を運営している。用水供給と末端水道を同じ企業団が担い、本部が経営方針、財政、技術管理を扱いながら、各地域には事務所を置く構造である。
2025年4月時点の組織は、本部六課・一センターと十五事務所、職員三百二十一人で構成される。本部には総務、企画、会計、技術管理、業務、工務、水質管理の機能を置き、地域事務所は旧事業体の施設運転、管路、給水、地域対応を担う。経営主体と専門部門を広域化しながら、現場拠点を残す本部・地域事務所型である。
令和6年度活動報告書(アニュアルレポート)(引用元:広島県水道広域連合企業団)
ただし、企業団設立時点で三百人を超える固有職員が新たに生まれたわけではない。職員の多くは県や構成市町からの派遣であり、企業団は派遣職員の経験によって立ち上げ時の業務を維持してきた。派遣方式は、旧施設の履歴、運転方法、管路事情を継承しやすい反面、派遣元の自治体側から人材を移すことになる。また、派遣期間が終われば、企業団内部に知識が残らないおそれがある。
広島県水道広域連合企業団 組織運営方針 令和7年11月(引用元: 広島県水道広域連合企業団)
このため企業団は、2026年度から常勤のプロパー職員を採用し、電気、機械、土木、情報通信などの水道技術職を自ら確保する方針を進めている。組織運営方針では、新規採用だけでなく、外部専門人材の活用、派遣職員の転籍など複数の方法によって固有職員を増やし、「水道専門家集団」を構築することを掲げている。企業団議会でも、派遣職員の経験年数、専門人材の確保、プロパー化の進め方が具体的な論点となっている。
広島県水道広域連合企業団 組織運営方針 令和7年11月(引用元: 広島県水道広域連合企業団
広島型では、施設、財政、職員定数を一つの企業団で扱えるようになった一方、旧事業体ごとの施設、料金原価、更新需要、業務方法は直ちには同一にならない。本部と十五事務所を置くのも、広域化によって地域業務をすべて中央へ移せないためである。統合後の課題は、旧自治体の業務を単に企業団内へ並べるのではなく、専門業務を本部へ集約し、地域事務所との役割分担を再設計することにある。
広島県水道広域連合企業団型の特徴は、資産と経営主体の統合後に、人材の統合を進めていることである。派遣職員だけでは構成団体の人材不足を企業団へ移すだけになり得る。企業団が独自採用、育成、転籍によって固有の専門職を持ち、構成団体に依存しなくても設計、運転、工事監督、施設再編を判断できるようになるかが、統合の実効性を左右する。
11-4 茨城県企業局型―基本協定後に、県企業局への事業・資産・人員移転を進める―
茨城県では、県企業局を統合先として、市町村等の末端水道事業と県営水道用水供給事業の経営一体化を進めている。2025年2月に二十一事業体と基本協定を締結し、2026年2月には七事業体が加わり、参加予定は二十八事業体、給水人口は約百十万人となった。県内給水人口のおおむね四割に当たり、2028年4月ごろの経営統合を目標としている。
〈水道事業の経営統合〉 7市・企業団と「水道事業の経営の一体化に関する基本協定」を締結しました 令和8年2月5日 (引用元:茨城県政策企画部水政課・企業局)
基本協定では、統合後の事業経営と事業執行を県企業局が担う。ただし、各市町村の水道事業を一つの料金体系へ直ちに統一する方式ではなく、事業ごとに経理を区分し、別料金を維持する。市町村が水道事業に使用している資産、負債、資本は県企業局へ無償で引き継ぎ、職員は県企業局による採用又は市町村からの派遣によって確保する。したがって、茨城型は「一県一料金」を直ちに実現する統合ではなく、経営主体と執行権限を県企業局へ移した上で、会計と料金を地域別に管理する段階的統合である。
茨城県における水道事業の経営の一体化に関する基本協定締結式 次 第 令和7年2月26日 市町村会館講堂(引用元:茨城県)
施設面では、県営の大規模浄水場を活用し、市町村の小規模浄水場を配水場化又は廃止する計画が中心となる。2021年度に百十八か所あった対象浄水場を、2070年度には五十七か所へ減らす想定であり、県西、鹿行などでは浄水場拡張、送水管新設、管路増径、ポンプ場整備を組み合わせる。すべての地域で施設を集中させるわけではなく、地形的に連絡が困難な地域では既存浄水場を継続利用する方針も示されている。
〈水道事業の経営統合〉 7市・企業団と「水道事業の経営の一体化に関する基本協定」を締結しました 令和8年2月5日 (引用元:茨城県政策企画部水政課・企業局)
県の改定方針では、施設統廃合、維持管理、国交付金、人員集約などを合わせ、長期的に千七百九十三億円以上の効果を見込んでいる。ただし、この数値は、二十八事業体が計画どおり統合し、長期間にわたって浄水場廃止、管路新設、組織集約を実施することを前提としたシミュレーションである。統合協定を締結した時点で、削減額が実現したわけではない。
〈水道事業の経営統合〉 7市・企業団と「水道事業の経営の一体化に関する基本協定」を締結しました 令和8年2月5日 (引用元:茨城県政策企画部水政課・企業局)
2026年度からは、浄水場拡張や送水管新設の設計など、施設最適化に向けた具体的事業が始まっている。一方、経営統合までには、料金算定、資産台帳、企業債、職員身分、給与、窓口、検針、収納、給水装置、例規、情報システムなどを調整しなければならない。県企業局が既存の用水供給組織のまま受水量を増やすだけではなく、市町村の末端水道を自ら執行できる組織へ変わる必要がある。
茨城型の特徴は、新しい企業団を設立するのではなく、既存の県企業局を統合主体として利用することである。県企業局には用水供給施設、技術部門、公営企業会計の基盤があるため、新組織を一から設ける負担を抑えられる。一方、県企業局が末端給水、住民窓口、給水装置、地域管路まで扱うには、従来とは異なる業務と人員を引き受けなければならない。
したがって、茨城県の基本協定は統合の完成ではない。料金を別にしたまま、資産、人員、経営権限を県企業局へ移し、施設を数十年かけて再配置するための出発点である。2028年の経営統合後に、県企業局が事業別会計を維持しながら、圏域を越えて施設投資と人材配置を決定できるかが、実効性を判断する中心となる。
茨城県水道事業広域連携推進方針 (改定版) 令和5年3月策定 令和7年3月改定 令和8年3月改定 (引用元:茨 城 県)
12 全国18事例をまとめると―広域化の方式によって、移る責任と残る責任が異なる
前章までの18事例をまとめると、全国の水道広域化は、一つの制度や組織形態へ移行しているわけではない。
広域用水供給、共同購入、共同委託、共同浄水場、システム共同化、経営の一体化、事業統合まで、内容の異なる取組が、すべて「広域化」という一つの言葉で表されている。
したがって、広域化の実態を評価するときは、「実施しているか、していないか」ではなく、資産、人員、財源、契約権限、料金決定権、施設再編権限、人事配置権限、最終責任のうち、何が広域組織へ移り、何が従来の自治体に残ったのかを確認しなければならない。
国土交通省も、今後の上下水道について、単なる施設統廃合だけでなく、複数自治体による事業運営の一体化と、地域条件に応じた集約型・分散型施設の組合せを進める必要があるとしている。全都道府県で広域化推進プランが策定された一方、料金差、費用負担、中核都市の参加利益、人材・ノウハウ不足などが、実施段階の課題として残っている。
前章までの事例は、大きく四つに整理できる。
12-1 用水広域・末端分散型―上流施設は集約されても、末端責任は自治体ごとに残る
神奈川県東部、福岡都市圏、阪神地域、北千葉地域、愛知県などでは、大規模水源、取水施設、浄水場、広域送水管を県、企業団又は複数事業者が共同で整備し、受水後の配水池、ポンプ場、配水管、給水装置、料金、住民対応を市町村等が担っている。
この方式には明確な合理性がある。
単独自治体では確保しにくい水源や高度浄水処理施設を共同で保有できる。市町村は、地域の地形、管網、給水装置、住民事情を踏まえて末端給水を行うことができる。災害や水質事故に備えて、広域用水と自己水源を組み合わせることも可能になる。
しかし、用水供給が広域化されても、水道事業全体の責任が広域組織へ移るわけではない。
市町村には、自己水源の存廃、受水量の決定、配水池とポンプ場の更新、管路更新、設計、積算、工事発注、料金改定、職員配置、技術継承、住民説明、災害対応、委託監督が残る。
さらに、用水供給組織と市町村の境界を管理する仕事も生じる。
受水量をどこまで確保するのか。自己水源をどの時間帯に使うのか。広域施設の停止時にどの施設で代替するのか。水質異常の責任分界点をどこに置くのか。受水費と自己浄水費をどのように比較するのか。施設更新時期をどこまで合わせるのか。
したがって、広域用水の受水によって「自ら浄水する業務」が減っても、「複数組織の費用、施設、契約、運転条件を調整する業務」が増える。
神奈川県東部では、五事業者が保有する対象浄水場を十一施設から八施設へ再編する計画が進められている。これは、個別事業者の更新ではなく、圏域全体の水量と施設能力を踏まえた具体的な施設再編である。
しかし、水利権、浄水場、料金、職員、配水管、企業債は、引き続き各事業者に分かれている。物理的な水道システムは一体化へ進んでも、法的・財政的な経営主体は五つのままである。
福岡地区水道企業団や北千葉広域水道企業団では、広域施設の固定費を回収するため、実使用水量とは別に基本水量を基礎とする料金制度が設けられている。
福岡地区水道企業団では、基本料金と使用料金からなる二部料金制が採られ、基本水量には一日最大供給水量を基礎とする調整率が用いられている。北千葉広域水道企業団でも、給水収益の大部分を基本料金が占めている。
この方式は、実際の受水量が減っても、水源、浄水場、送水管、電気設備、企業債などの固定費が直ちに減らないことに対応する合理的な制度である。
一方、受水市町村から見れば、節水や自己水源の活用によって実受水量を減らしても、基本料金負担は同じ割合では減らない。そのため、広域用水の負担と、自己浄水場、配水池、ポンプ場などの固定費を同時に管理することになる。
用水広域・末端分散型の問題は、広域用水供給組織の能力が低いことではない。
上流側では、高度な技術、広域水源、大規模施設、危機管理能力を確保できている地域も多い。
問題は、上流施設と市町村施設を、一つの資産台帳、一つの需要予測、一つの人員配置、一つの財政計画に載せ、圏域全体として施設の存廃と更新順位を最終決定する主体が存在しないことである。
各自治体が自己水源を残す判断にも合理性がある。広域用水へ転換する判断にも合理性がある。
しかし、各自治体の判断が個別には合理的であっても、圏域全体では、広域施設と自己施設の固定費が重なり、低稼働施設が残り、職員や委託監督能力が分散することがある。
12-2 緩やかな連携・限定共同化―制度変更は小さくても、実務調整は軽くない
共同購入、共同研修、漏水調査の共同委託、料金システム共同化、台帳システム共同化などは、資産や職員を移管する経営統合より始めやすい取組である。
しかし、責任主体を変えずに共同化するためには、各自治体の制度を残したまま、共同化する部分の仕様だけをそろえなければならない。
水道メーターであれば、口径、材質、計量方式、購入数量、納入時期、検査方法、保管場所を合わせる必要がある。
薬品であれば、品質、濃度、使用量、貯蔵能力、納入頻度、緊急時の補充条件を合わせなければならない。
システムであれば、料金体系、検針周期、減免制度、滞納管理、下水道使用料との連携、個人情報、既存データの形式まで調整する必要がある。
神奈川県の水道メーター共同購入では、共同購入を前提とした見積額が従来の実績額を下回らず、契約時期をそろえる負担もあることから、直近での実施が見送られた。
愛媛県の漏水調査共同委託では、基本協定を締結しても、実際に共同発注へ参加する自治体が年度ごとに変わる方式が検討された。
一方、静岡県の五市による料金収納管理システム等の共同化は、参加団体、導入日、事業費、削減見込みまで具体化しており、検討ではなく実施段階へ進んでいる。
この違いは大きい。
協議会を開いたこと、参加意向を確認したこと、基本協定を締結したことと、予算、契約、履行監督を伴う恒常的な共同運営を始めたことは同じではない。
それこそ、物品購入だけではなく例えば兵庫県まちづくり技術センターは、実際に水道工事の設計・積算・工事監理支援を行っています。令和7年度の水道研究発表資料では、上水道部門設置から前年度までに73件の業務を受託し、水道経験の豊富な土木職、電気職、機械職を中心とする8名体制で支援しているとされています。これは重要な実績です。
兒山雅治・小林耕輔・田中秀春・福井健太・田村一樹・稲田圭祐・武市久仁彦「兵庫県まちづくり技術センターにおける市町の水道技術支援(Ⅷ)―管路布設替工事(シールド工法)の工事監理業務―」『令和7年度全国会議(水道研究発表会)講演集』公益社団法人日本水道協会、pp.92-93、2025年
しかし、この実績をもって、県内市町の末端給水責任を代替できると見ることはできません。
8名体制で73件の受託実績があるということは、技術支援機能が存在することを示します。一方で、それは県内全域の設計・積算・工事監理・委託監督・住民説明を継続的に代替できる大規模な発注者組織ではないことも示しています。
さらに、同センターの支援は、あくまで市町の発注者責任を前提にした補助です。
支援組織が設計・積算・工事監理を補助しても、最終的に発注条件を決め、成果品を確認し、変更契約を判断し、地元や議会や住民に説明するのは自治体側です。
これらの緩やかな連携は、強い連携へ進む前の標準化や信頼形成として意味がある。
しかし、任意参加の共同事業だけを積み重ねても、各自治体の資産、人員、料金、施設判断、最終責任は移らない。専任職員、恒常財源、契約権限を持つ組織がなければ、仕様書作成、予算要求、入札、検査、設計変更の実務は、代表自治体又は各参加自治体へ戻る。
これらの結果、広域化を必要とするほど人員が不足している自治体が、広域化を実施するための調整事務まで負担するという逆説が生じる。
12-3 共同施設・地域条件型―施設を減らせる地域と、分散施設を残すべき地域がある
鳴門市と北島町の共同浄水場は、両団体の施設更新時期が重なり、地理的に共同施設から送水でき、必要能力、費用負担、事業主体を具体化できたため、実施段階へ進んだ事例である。
一方、中間市、鞍手町、北九州市の水源転換構想が示すように、既存浄水場を廃止するためには、代替する送水管、受水施設、配水池、圧力調整設備を整備しなければならない。
削減される浄水場更新費だけでなく、新たな送水施設、受水費、企業債、除却費、移行期間中の重複費を含めなければ、施設統廃合の効果は判断できない。
また、熊本県のように良質な地下水源と小規模施設が広く点在する地域では、施設を一か所へ集約するための送配水管整備費が大きくなり、施設統廃合による効果を得にくい場合がある。
長崎県の離島、半島地域でも、地理的分断が大きく、浄水場や配水施設を一つの中央施設へ物理的に集約することには限界がある。
したがって、広域化と施設集中を同じものとして扱ってはならない。
施設を地域に残したまま、職員採用、設計基準、積算、資産台帳、水質管理、共同調達、更新計画、災害支援を広域組織へ集める方式もあり得る。
必要なのは、施設数を機械的に減らすことではない。
地域条件を踏まえ、残す施設、廃止する施設、縮小する施設、共同利用する施設を継続的に判断できる組織をつくることである。
12-4 責任統合型―統合すれば地域差が消えるのではなく、地域差を一つの組織内で管理できる
大阪広域水道企業団、奈良県広域水道企業団、広島県水道広域連合企業団、茨城県が検討する経営一体化は、共同購入や用水供給より深い。
これらの型では、末端水道事業の資産、職員、財源、契約、人事、施設更新などを広域組織へ移し、広域組織が水道事業者として直接給水を担う。
しかし、責任統合は、地域差を直ちに消すことではない。
大阪広域水道企業団では、統合した市町村域に水道センターを置き、地域の施設管理や住民対応を行う。統合当初には市町村職員と技術的知識を引き継ぎながら、企業団全体として人員配置や業務を組み直す仕組みが採られている。
一方、統合後は、料金その他の重要事項を最終的に審議する議会が、市町村議会から企業団議会へ移る。このため、企業団議会で各地域の意見がどのように反映されるのか、市町村と企業団の情報共有をどう確保するのかが継続的な課題となる。
奈良県広域水道企業団では、統合団体の資産、資本、負債等を企業団へ引き継ぐ一方、統合前の累積欠損や地域固有の負担をどのように処理するかについて整理が行われた。
茨城県の経営一体化案でも、資産、負債、職員を県企業局へ移す一方、地域ごとの料金や会計を一定期間区分し、既存の資金が他地域へ直ちに流用されない仕組みが検討されている。
これは、統合すれば料金差、施設差、負債差、職員構成の差がなくなるわけではないことを示している。
責任統合型の強みは、地域差を消すことではない。
料金差、施設水準、資産、負債、人員、更新需要が異なる地域を、一つの恒常的な組織の中で管理できることである。
用水広域・末端分散型では、自治体間の利害対立が組織の境界に現れる。
責任統合型では、その対立が一つの組織内部の予算配分、人員配置、施設更新順位、料金制度の問題として現れる。
統合によって対立がなくなるのではない。
対立を継続的に処理する主体が明確になるのである。
12-5 すべての型に共通するのは、人材が自動的には増えないことである
大規模事業体や県、企業団が存在しても、それらが無制限に技術者を供給できるわけではない。
大規模事業体も、自らの退職補充、新規採用、年齢構成の断絶、大規模更新、災害対応、デジタル化、官民連携の監督を抱えている。
自治体間で技術支援協定を結び、一人の専門職員を複数自治体で活用しても、その職員が同時に処理できる設計、積算、工事監督、故障対応の件数には限界がある。
人事交流や派遣を増やしても、圏域全体の技術職員数が増えるわけではない。派遣元の職場が薄くなれば、支援を受ける側の不足を、派遣する側の不足へ移しただけになる。
国土交通省の調査でも、技術職への応募者不足、採用辞退、年齢構成の偏り、短期間の人事異動による専門性蓄積の困難、小規模事業体で一人が多数業務を抱える状況が示されている。
上下水道における 人材確保・育成に関する今後の方向性(引用元:国土交通省)
したがって、全国18事例を通じて確認できるのは、広域化の方式にかかわらず、技術職員をどこに集め、誰が育成し、誰が設計、積算、工事監理、委託監督、事故対応を担うのかを決めなければ、制度だけを変更しても執行体制は強くならないということである。
13 2030年前後に起きるのは、全国一律の末端統合ではなく、個別最適の積み上げである
全国の広域化推進プランと実施事例を現実的に見ると、2030年前後までに、すべての地域で全面的な末端統合が一斉に進む可能性は高くない。
起きやすいのは、それぞれの地域が、現在の制度を残しながら、差し迫った問題に対応するための個別最適を積み上げることである。
用水供給地域では、基本水量、責任水量、分賦金、受水費の見直しが進む。
水需要が減る一方、広域浄水場、送水管、ダム、水源施設の固定費は直ちに減らない。構成団体は、自己水源をどこまで残すか、広域用水の契約水量をどこまで確保するかを再計算することになる。
自己浄水場を持つ自治体では、全面廃止だけでなく、更新延期、能力縮小、一部系統停止、配水場化、非常用水源化、官民連携による再整備などが選択される。
共同施設型では、複数自治体の施設更新時期が一致した地域から、共同浄水場、連絡管、共同配水池、水質検査共同化が進む。
更新時期が一致しない地域では、先に更新した自治体の残存簿価や、後から参加する自治体の負担をどう扱うかが問題になり、統合時期が後ろへずれる。
緩やかな連携では、料金システム、台帳、窓口、漏水調査、薬品、水道メーターなど、契約時期と仕様を合わせられる分野から共同化が進む。
一部設計業務の支援が増えるかもしれません。
ただし、対象業務が共同化されても、料金決定、施設更新、人事配置、発注・入札、事故時の最終責任は各自治体に残る場合が多い。
責任統合型では、統合後ただちに全地域の料金と施設水準を統一するのではなく、地域別料金、別会計、地域事務所、経過措置を残しながら、数年から十数年をかけて人事、システム、資産台帳、設計基準、契約、施設更新計画をそろえることになる。
したがって、2030年前後に全国で起きやすいのは、強い統合への一方向の移行ではない。
受水費の再調整、自己水源の延命、一部水源の廃止、浄水場の縮小、料金改定、更新投資の平準化、長期包括委託、設計施工一括発注、共同システム化、地域ごとの段階的統合が同時に進む状態である。
国も、地域の実情に応じて、集約型と分散型の施設を組み合わせながら、事業運営の一体化を進める方向を示している。これは、全国一律の施設集中や一県一水道を直ちに求めるというより、地域条件に応じた組織と施設の再設計を求めるものである。
これらは、いずれも広い意味では広域化である。
しかし、末端給水責任の統合とは限らない。
水源だけが広域化される地域もある。
システムと窓口だけが共同化される地域もある。
浄水場だけを共同で整備する地域もある。
資産、人員、契約、料金決定まで広域組織へ移す地域もある。
重要なのは、すべてを同じ「広域化実績」として数えないことである。
2030年前後の水道事業を左右するのは、協議会や協定の数ではない。
各取組によって、誰の業務が減り、誰の業務が増えたのか。どの施設が廃止され、どの固定費が残ったのか。どの職員がどこへ配置され、誰が委託を監督するのか。費用増加や事故発生時に誰が最終判断するのかである。
14 現在の広域化の型で、水道事業を本当に維持できるのか
広域化には効果がある。
しかし、組織をまとめれば、それだけで水道事業が持続可能になるわけではない。
過去の分析では、市町村合併に伴う経営の一体化について、労働生産性には改善効果が確認された一方、資本生産性には統計的に有意な効果が確認されなかった。
この研究は、主として市町村合併に伴う経営一体化を対象としており、制度や規模が多様な企業団をそのまま一括して評価したものではない。そのため、すべての広域組織へ結果を直接当てはめることはできない。
それでも、経営主体をまとめるだけでは、施設資産の効率化が自動的に進まないという指摘は重要である。
従前の給水区域、低稼働施設、余剰能力、長大な管路を残し、従来と同様の更新投資を続ければ、組織統合後も資産負担は残る。資本生産性を改善するには、低利用施設の廃止、能力縮小、施設配置、給水区域、管路構成まで見直す必要がある。
谷口淳(2026)「水道事業の広域化の効果―『経営の一体化』が水道事業の効率性に与える影響とその評価―」『京都産業大学経済学レビュー』第12号、pp.53-91、京都産業大学通信制大学院経済学研究会
この点から見れば、用水供給だけを広域化し、末端施設の判断を各自治体に残す方式では、施設面の効果はさらに限定される可能性がある。
広域用水施設が規模を縮小しても、市町村側の老朽浄水場、配水池、ポンプ場、取水施設が残れば、圏域全体の施設総量は十分に減らない。
反対に、市町村が自己水源を廃止して広域用水へ転換しても、新たな送水管、受水施設、配水池改修が必要になれば、移行期間中は費用が増えることもある。
自己水源を残すか廃止するかは、単純な善悪ではない。
自己水源を残すことには、災害、水質事故、広域送水停止、渇水時のリスク分散という意味がある。
一方、老朽施設を更新できず、運転管理、電気、機械、水質、設計、工事監督を担う職員も確保できない場合、自己水源の維持そのものが事故や更新遅延のリスクになる。
広域用水へ全面的に依存すれば、自己浄水場の更新負担を減らせる可能性がある。
しかし、受水費、基本料金、責任水量、供給停止時の冗長性、広域施設の更新負担を、住民と議会へ説明しなければならない。
責任水量制についても、広域施設の固定費を安定的に回収する機能がある一方、自己水源を縮小する方向やダム水源への依存を強める方向に働く可能性が指摘されている。
梶原健嗣(2019)「水道事業の広域化の歩みと水道法2018年改正――これまでの広域化/これからの広域化」『水資源・環境研究』第32巻第2号、pp.57-64
施設統廃合を考える際には、短期的な費用だけでなく、水源構成、渇水、水質事故、災害時の代替性を含めて評価する必要がある。
さらに、現在は技術人材の縮小という制約が重なっています。
上下水道における 人材確保・育成に関する今後の方向性(引用元:国土交通省)
従来の広域化論では、「広域化すれば安くなるのか」「施設統廃合で費用を削減できるのか」「責任水量制の下で財政的に合理的か」「水源リスクは増えないか」が問われてきました。
しかし、技術人材不足を考えると、それだけでは足りません。
誰が設計するのか。誰が積算するのか。誰が工事を監理するのか。誰が委託を監督するのか。誰が事故時に判断するのか。誰が次世代に技術を継承するのか。
これらを各市が単独で維持できなくなるなら、広域化や共同化は、単なる費用削減策ではなく、執行体制を維持するための選択肢になります。
ここが重要です。
広域化は、必ずしも短期的に黒字を生むとは限りません。共同化しても、すぐに料金が下がるとは限りません。運転管理や料金徴収の共同委託でも、経済的メリットが見いだしにくい場合があります。責任水量制や水源構成を誤れば、財政上は合理的に見えても、水源リスクを偏らせる可能性があります。
それでも、各市単独で技術職員を確保し、育成し、設計、積算、工事監理、委託監督、事故対応を続けられないなら、広域化や共同化は避けて通れません。
これは「安くなるから進める」という話ではありません。
「単独では執行体制が持たないから、進めざるを得ない」という話です。
採用を増やす仕組みではなく、採用が少なくなっても執行体制を維持する仕組みです。
民間委託や官民連携も同じです。
民間委託は、必ずしも安くするための手段ではありません。公側にも民側にも技術者が不足し、人件費、物価、リスク負担、契約管理、災害対応、監督コストが上がるなら、民間委託はむしろ高くなることがあります。それでも委託せざるを得ないのは、公側に人がいなければ、直営でも事業を回せないからです。
しかし、民間事業者へ運転管理、設計、更新、料金徴収を委託しても、水道事業者には、事業条件を決め、仕様書を作り、予定価格を算定し、提案を評価し、契約変更を判断し、履行を監視し、事故時に最終判断を行う能力が必要です。
また、小規模、短期、分割発注では、民間事業者が長期的な人員育成や設備投資を行いにくい、発注も受けにくい。反対に、長期・包括契約へ移行すれば、契約設計、リスク分担、要求水準、モニタリングが複雑になる。額を大きくしても管工事などリスクが大きく利益の小さいものまで委託することは難しい。
そのため、官民連携は「公共側の仕事をなくす制度」ではない。
現場作業の一部を民間へ移す代わりに、公共側の仕事を、直接作業から契約管理、性能監視、更新判断、事故時の指揮へ変える制度です。
また、民間で請け負えないものは公側で対応しなければなりません。
したがって、水道事業を本当に維持するためには
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用水供給施設と末端施設を含む施設総量を誰が管理するのか。
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自己水源を残すか廃止するかを誰が決めるのか。
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技術職員をどこへ配置し、誰が育成するのか。
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仕様書、積算、設計変更、工事監理、委託監督を誰が担うのか。
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料金と地域間負担を誰が説明するのか。
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災害、水質事故、重大故障時に誰が最終判断するのか。
これらを同じ責任体系の中で決められるかが重要である。
経営統合でさえ、施設整理を伴わなければ効果は限定される。
用水供給、共同購入、共同研修だけにとどまり、施設再編、人材配置、委託監督、財源、最終責任が自治体ごとに残り続けるなら、広域化による改善効果も限定される。
広域化の目的は、組織図を大きくすることではない。
限られた施設、人材、財源を、継続的に配分し直せる責任主体をつくることである。
15 広域化を拒む力学―反対者がいるのではなく、誰もリスクを引き受けにくい構造である
水道広域化が進みにくい理由を、特定の自治体、議会、職員組織、住民の反対だけで説明することはできない。
料金、資産、負債、施設水準、水源、職員処遇、議会権限、地域窓口、災害対応、委託契約が絡み合い、関係者がそれぞれ合理的にリスクを避けることで、結果として責任統合が進みにくくなっている。
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各市は、自市の料金と施設判断を失うことを警戒します。
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議会は、市民負担と意思決定権の低下を警戒します。
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住民は、料金上昇、自己水源廃止、災害時対応力の低下を警戒します。
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職員組織は、人材流出、技術継承の断絶、公共側の監督能力低下を警戒します。
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県は調整できますが、各市の料金、人事、資産を一方的に統合する主体ではありません。
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既存企業団は、現在の用水供給責任に縛られ、末端給水統合まで直ちに担えるとは限りません。
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民間事業者も、小規模、短期、分割発注では、公側の課題を丸ごと吸収できません。
この一つ一つは、単なるわがままではない。
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自治体は自治権と住民説明責任を守ろうとしている。
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議会は料金と地域負担の審議権を守ろうとしている。
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住民は地域の水源、料金、窓口、災害対応を守ろうとしている。
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職員組織は技術継承と公共側の判断能力を守ろうとしている。
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企業団は、現在引き受けている用水供給責任を確実に果たそうとしている。
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県は、自治体間の合意形成を壊さない範囲で調整しようとしている。
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民間事業者は、採算性、契約期間、リスク、人員配置を確認している。
その結果、誰も明確に間違っていないにもかかわらず、誰も料金差、資産差、負債差、人事、施設廃止という重い問題を正面から引き受けにくい構造が生まれる。
大阪広域水道企業団との統合をめぐる資料や議会議事録でも、企業団議会で市の意見が十分に反映されるのか、統合後の情報共有をどのように行うのか、地域事情を理解した職員や窓口を維持できるのかといった論点が示されている。
大阪広域水道企業団議会「議員定数」に関するアンケート調査集計表(引用元:大阪広域水道企業団)
「箕面市の水道事業の現状と課題及び大阪広域水道企業団との統合検討状況について」パブリックコメントに寄せられた意見に対する市の考え方(引用元:箕面市)
大阪広域水道企業団と四條畷市・太子町・千早赤阪村との 水道事業の統合に向けての検討、協議について(引用元:大阪広域水道企業団)
奈良県や茨城県でも、統合前の負債、地域別の資金、料金差、施設差をどのように引き継ぐかが制度設計の中心になっている。
これは、広域化への感情的な拒否ではない。
広域化によって誰の権限が減り、誰の負担が増え、事故や費用超過の責任を誰が負うのかが明確でないことへの、制度的な不安である。
しかし、すべての権限と責任を各自治体へ残し続けることにも限界がある。
地方自治は、自治体の組織や看板を残すこと自体を目的とするものではない。
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市民生活を継続的に守るための仕組みである。
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料金を負担するのは市民である。
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老朽管の破損や断水に直面するのも市民である。
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災害時に水を必要とするのも市民である。
自治権を守ることが、料金改定、施設更新、人材確保、技術継承の先送りにつながるなら、自治の形式を残しても、市民生活を守る実質的な能力は低下する。
住民窓口、地域事情の把握、給水装置対応、料金相談、災害時の地域調整は、市民に近い場所へ残す必要がある。
一方、技術職員の採用と育成、設計、積算、工事監理、委託監督、資産台帳、施設更新計画、水質管理、災害時技術支援は、各自治体へ薄く分散させたままでは維持しにくくなっている。
この二つを区別する必要がある。
地域に近い方がよい仕事まで中央へ集める必要はない。
しかし、専門性、継続性、一定の業務量が必要な仕事を各自治体へ一人ずつ残しても、実質的な技術判断力は維持できない。
その状態では、直営であっても判断できない公営になる。
委託しても監督できない委託になる。
広域化しても責任の所在が曖昧な連携になる。
だからこそ必要なのは、単なる委託拡大ではない。
広域化とは、自治を捨てることではない。
地域に残すべき仕事と、広域的に集めなければ維持できない仕事を分け、自治の実質を守るために責任を再配置することである。
全国の水道事業で問われているのは、広域化に賛成か反対かではない。
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誰が、どの資産を管理するのか。
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誰が、どの職員を配置するのか。
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誰が、どの費用とリスクを負担するのか。
そして、事故、費用増加、施設廃止、料金改定が必要になったとき、誰が最終判断するのかである。
結論―広域化の分岐点は、連携件数ではなく、責任を引き受ける組織の有無にあるー
全国18事例を見ると、水道広域化そのものを、安心又は危険と一括して評価することはできない。
用水供給の広域化には、大規模水源、高度浄水処理、長距離送水を共同で確保できる強みがある。
共同購入や共同システムには、仕様の標準化、事務負担軽減、将来の統合に向けた準備という意味がある。
共同施設には、更新時期と地理条件が合う地域で、重複投資を減らせる可能性がある。
経営の一体化には、資産、人員、財源、契約、施設更新を一つの組織で管理できる強みがある。
しかし、いずれの方式も、名称だけでは実効性を判断できない。
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共同研修をしても、技術者の総数は増えない。
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共同購入をしても、施設更新の責任は移らない。
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用水供給を広域化しても、末端管路、料金、住民対応、委託監督は残る。
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経営統合をしても、施設整理、料金差、地域別負担、人材配置を扱わなければ、統合効果は限定される。
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官民連携を進めても、公共側の監督能力が不要になるわけではない。
したがって、広域化の実効性を測るために必要なのは、協議会の数、協定の数、参加自治体数ではない。
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広域組織が独自に職員を採用し、配置できるか。
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恒常的な財源と予算編成権を持つか。
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自ら仕様書を作り、契約し、履行を監督できるか。
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広域施設と末端施設を同じ資産台帳と需要予測で管理できるか。
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残す施設、廃止する施設、縮小する施設を決定できるか。
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料金差、資産差、負債差を長期的に調整できるか。
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地域の意見を意思決定へ反映する議会と説明制度があるか。
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事故や費用超過が起きたとき、最終責任を負う主体が明確か。
この条件を備えて初めて、広域化は、連携事業の集合から、持続的な事業運営体制へ変わる。
今後、人口減少、料金収入の減少、施設老朽化、物価上昇、技術職員不足が同時に進むなかで、各自治体がすべての技術、施設、契約、危機管理能力を単独で保持し続けることは難しくなる。
一方、地域条件を無視して施設と権限を一か所へ集めれば、地域対応力、冗長性、住民との距離を失う可能性がある。
必要なのは、全面統合か単独維持かという二者択一ではない。
住民対応と地域拠点は近くに残しながら、採用、育成、設計、積算、工事監理、委託監督、資産管理、施設更新、災害時技術支援を広域的に集める多層的な組織である。
施設も、すべてを集中させるのではなく、地域条件に応じて、集約する施設と分散して残す施設を組み合わせなければならない。
全国の水道広域化は、すでに計画策定の段階を終えつつある。
次に問われるのは、「広域化に取り組んでいる」と説明できるかではない。
-
どの責任を移したのか。
-
どの施設を減らしたのか。
-
どの人材を集めたのか。
-
誰が委託を監督するのか。
-
誰が最後に決めるのか。
それを、住民、議会、職員、構成団体に明確に示せるかである。
この問いに答えられない広域化は、責任を統合する仕組みではなく、責任の所在を複雑にする仕組みになり得る。
反対に、地域に残すべき役割を残しながら、資産、人材、財源、判断、最終責任を実質的に集めることができれば、広域化は、単なる費用削減策ではなく、人口減少時代にも水道事業を維持するための執行体制となる。
水道広域化の成否を決めるのは、組織の名称でも、参加団体数でもない。
水を供給し続けるために必要な責任を、誰が引き受けるのかである。
本稿は、公開情報として入手可能な一次資料を引用・参照しながらに、
制度理解の観点から再整理・分析を行ったものです。
記載内容の構成、論点整理および評価は筆者個人の見解であり、特定の組織・機関の公式見解を示すものではありません。
参考文献
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・福岡地区水道企業団:福岡地区水道企業団 水道ビジョン2018 福岡都市圏の安心で快適な住民生活と持続的な発展を支える水道2019年1月
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大阪広域水道企業団:5団体(岸和田市・八尾市・富田林市・柏原市・高石市)との水道事業の統合について(R7.4統合)「統合案(概要版)」についてはこちら
https://www.wsa-osaka.jp/material/files/group/5/002_tougouann_gaiyoubann.pdf
大阪広域水道企業団:3団体(泉大津市・箕面市・門真市)との水道事業の統合に向けての検討、協議について 統合案(概要版)
https://www.wsa-osaka.jp/material/files/group/5/002_3danntaitougouann_gaiyoubann.pdf
大阪広域水道企業団:水道料金のお支払いに口座振替をご利用のお客さまへ
https://www.wsa-osaka.jp/soshiki/suito_kanri/8497.html
奈良県広域水道企業団:奈良県広域水道企業団の事業運営の基本方針基本計画附属資料
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奈良県広域水道企業団設立準備協議会:奈良県広域水道企業団基本計画 (改定案) 令和5年2月 (令和6年7月改定)
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奈良県広域水道企業団:第5回 奈良県広域水道企業団設立準備協議会 資料令和4年11月29日(火)
https://www.union.nara-water.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/16/20221129dai5kaikyougikaisiryou.pdf
大阪広域水道企業団:大阪広域水道企業団と泉大津市・箕面市・門真市との 水道事業の統合に向けての検討、協議 統 合 案
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広島県水道広域連合企業団:令和6年度活動報告書(アニュアルレポート)
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茨城県政策企画部水政課・企業局:〈水道事業の経営統合〉 7市・企業団と「水道事業の経営の一体化に関する基本協定」を締結しました 令和8年2月5日
https://www.pref.ibaraki.jp/somu/hodo/hodo/pressrelease/hodohappyoushiryou/2203/documents/260205suisei.pdf
茨城県:茨城県における水道事業の経営の一体化に関する基本協定締結式 次 第 令和7年2月26日 市町村会館講堂
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/suisei/suido/documents/7_kihon_teikei_shiryou.pdf
茨城県:茨城県水道事業広域連携推進方針 (改定版) 令和5年3月策定 令和7年3月改定 令和8年3月改定
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/suisei/suido/documents/02_suishinhousin_kaiteiban_r0803.pdf
谷口淳(2026)「水道事業の広域化の効果―『経営の一体化』が水道事業の効率性に与える影響とその評価―」『京都産業大学経済学レビュー』第12号、pp.53-91、京都産業大学通信制大学院経済学研究会
https://www.kyoto-su.ac.jp/mt_uploads/econ-journal_202603_03.pdf
梶原健嗣(2019)「水道事業の広域化の歩みと水道法2018年改正――これまでの広域化/これからの広域化」『水資源・環境研究』第32巻第2号、pp.57-64
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwei/32/2/32_57/_pdf/-char/ja
兒山雅治・小林耕輔・田中秀春・福井健太・田村一樹・稲田圭祐・武市久仁彦「兵庫県まちづくり技術センターにおける市町の水道技術支援(Ⅷ)―管路布設替工事(シールド工法)の工事監理業務―」『令和7年度全国会議(水道研究発表会)講演集』公益社団法人日本水道協会、pp.92-93、2025年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwwaproc/2025/0/2025_92/_article/-char/ja
国土交通省:上下水道における 人材確保・育成に関する今後の方向性
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001966242.pdf
箕面市:「箕面市の水道事業の現状と課題及び大阪広域水道企業団との統合検討状況について」パブリックコメントに寄せられた意見に対する市の考え方
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大阪広域水道企業団:大阪広域水道企業団議会「議員定数」に関するアンケート調査集計表
https://www.wsa-osaka.jp/material/files/group/34/R021102_teisuiinkai_6.pdf
大阪広域水道企業団:大阪広域水道企業団と四條畷市・太子町・千早赤阪村との 水道事業の統合に向けての検討、協議について
https://www.wsa-osaka.jp/material/files/group/2/8e850ce2034c661115f7c93e58fb62e363637e2f.pdf