行政技術職解説|公務員技術職・主に電気職を中心にした実務分析

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水道管についている弁は全部同じではない|バタ弁・仕切弁・サドル付分水栓・逆止弁・空気弁の違い

水道の配管図や工事現場を見ると、「バタ弁」「仕切弁」「サドル付分水栓」「割T字管」「逆止弁」「空気弁」「減圧弁」など、よく似た名前の器具が次々に出てきます。

どれも水道管の途中に付いて水の流れに関係するため、最初は「結局どれも水を止めたり流したりするものではないのか」と感じます。しかし、役割で整理するとそれほど複雑ではありません。

大きく分ければ、水道管路で必要なのは、水を止める、水を枝分かれさせる、流量や圧力を変える、逆流を止める、空気を出し入れする、管内の水を外へ出すという機能です。

国の水道施設設計の考え方でも、配水管の付属設備は、遮断用バルブ、制御用バルブ、空気弁、減圧弁、消火栓、排水設備、流量計、水圧計などに分けて整理されています。つまり「全部バルブ」とまとめるより、その器具を付けることで水や空気をどうしたいのかから考える方が理解しやすいのです。

1 バタフライ弁とサドル付分水栓は、そもそも何が違うのか

最も大きな違いは、バタフライ弁は本管の流れを止めたり調整したりするもの、サドル付分水栓は本管から別の管を取り出すものだという点です。

例えば、道路の下に口径100mmの配水管が通っているとします。

その100mm管の途中に100mmのバタフライ弁や仕切弁を設ければ、弁を閉めたときに、その管の先へ流れる水そのものを遮断できます。

一方、100mmの配水管から住宅へ25mmの給水管を取り出す場合には、

配水管100mm → サドル付分水栓100×25 → 給水管25mm

という構成が考えられます。

「100×25」であれば、100mmの本管に取り付け、そこから25mmを取り出すという意味です。

サドル付分水栓は、本管を上下から抱き込むように取り付け、その部分から本管を穿孔して給水管を取り出します。そのため、サドル付分水栓を閉めても、基本的に止まるのは枝側です。本管100mmを流れている水そのものを遮断する器具ではありません。

これは重要な違いです。

本管を止める → 仕切弁・バタフライ弁

本管から細い管を取り出す → サドル付分水栓

と考えると分かりやすくなります。

給水管の取出し方法は本管と給水管の口径によって変わり、全国的な設計の基本では、給水管50mm以下では分水栓やサドル付分水栓、75mm以上ではチーズ、T字管、割T字管などを使う考え方が示されています。穿孔部では管の強度や内面塗膜を傷めないこと、防食コアなどによる切断面の防食も重要になります。

実際の水道事業体の基準を横断しても、おおむね同じ傾向が見られます。例えばサドル付分水栓には、本管75~400mm程度から20~40mmを取り出すもの、本管75~350mm程度から40・50mmを取り出すものなどがあります。一方、50mm程度から弁付割T字管へ切り替える基準や、75mm以上の分岐を割T字管とする基準もあります。したがって「サドルは○mmまで」と全国一律に決まっているわけではありませんが、小口径の給水分岐はサドル、太くなるほどT字管・割T字管へ移るという理解はかなり実態に近いものです。

なお、「サドル付分水栓」と「割T字管」は原理が少し似ています。どちらも既設管を外側から抱き、そこから新しい管を取り出せるからです。ただし割T字管は、サドル付分水栓より大きな分岐を作る場合に使われることが多く、本管を断水せずに施工する不断水分岐にも使われます。

不断水分岐では、既設管の周囲に割T字管を取り付け、水圧試験をして漏水がないことを確認した後、弁を介して穿孔します。このため、本管を切って水を全部抜かなくても新しい分岐を作ることができます。

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2 仕切弁とバタフライ弁は、どちらも水を止めるのに何が違うのか

仕切弁とバタフライ弁は、こちらはかなり似た仲間です。

どちらも配水管を遮断できます。

違うのは主に内部構造と、大口径になったときの扱いやすさです。

仕切弁は、ゲートバルブ、スルース弁などとも呼ばれます。管路に対して板状の弁体を上下させ、弁体を流路から引き上げれば全開、下ろして水路を塞げば全閉になります。

全開時には弁体が水の流路からほぼ退避するため、比較的流れを妨げにくいのが特徴です。このため道路下の配水管では非常に一般的で、現在は弁体をゴムで被覆したソフトシール仕切弁も広く使われています。

基本的には、

「普段は全開」

「工事や漏水事故のときに閉める」

という使い方に向いています。

国土交通省の機械設備の仕様でも、仕切弁について全開・全閉で使用し、中間開度による流量調整を行わないことが明記されています。

一方のバタフライ弁は、管の中に円盤状の弁体があります。この円盤を90度程度回転させます。

全閉では円盤が管を塞ぎ、全開では円盤が水の流れる方向とほぼ平行になります。

仕切弁とは違い、全開にしても円盤と軸が管内に残ります。そのため流れに対する抵抗はゼロにはなりません。しかし、弁体を上下させるための大きなスペースが不要で、大口径でも比較的コンパクトにできるという大きな利点があります。

そのため口径が大きくなるほど、バタフライ弁がよく現れるようになります。

実際の設計基準を見ると、ある体系ではソフトシール仕切弁を75~300mm、バタフライ弁を400~1,500mmとしており、別の体系では500mm未満をソフトシール仕切弁、500mm以上をバタフライ弁としています。つまり、300~500mm付近が一つの切替領域になる例が多いものの、全国共通の「400mmから必ずバタ弁」という規則があるわけではありません。

この違いは単純な好みではありません。管径が大きくなるほど弁体に作用する水圧による力も大きくなり、弁自体も巨大になります。バタフライ弁は仕切弁より構造をコンパクトにしやすく、操作力の面でも大口径に適しています。実際の水道技術資料でも、バタフライ弁は仕切弁よりコンパクトで操作力が軽いという特徴が整理されています。

ただし、バタフライ弁にも弱点があります。

弁を途中まで閉じると、円盤と管壁の狭い部分を水が高速で通過し、その下流側で流れが大きく剥離します。条件によっては局部的に圧力が低下してキャビテーションが生じ、騒音、振動、弁体や管の壊食につながります。

バタフライ弁が流量制御にも使えること自体は間違いではありませんが、「半開にしておけば便利」というほど単純ではなく、上流・下流圧力、流量、弁開度、使用時間などを考える必要があります。バタフライ弁周辺のキャビテーションと壊食については実験研究でも詳細に確認されています。

さらに大口径になると、もう一つ問題があります。

閉じた主弁の上流側に高い圧力があり、下流側の圧力が低ければ、大きな弁体をいきなり動かすには大きなトルクが必要です。

このため、管径400mm以上などの大きな弁では、主弁の横に細いバイパス管とバイパス弁を設けたり、内部に小さな副弁を持つバルブを使用したりします。先に小さな弁を開いて下流側へ少し水を送り、主弁の前後の圧力差を小さくしてから大きな弁を操作するわけです。特に水圧0.40MPa程度以上、管径400mm以上では、この考え方が重要になります。

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3 サドル付分水栓、T字管、割T字管は、どのように使い分けるのか

ここは「水を止める話」ではなく、水をどこかへ分ける話です。

最も小さな分岐でよく使われるのがサドル付分水栓です。

例えば住宅一戸へ給水するなら、

配水管100mm
→ サドル付分水栓100×25
→ 給水管25mm

といった構成が考えられます。

集合住宅や事業所などで必要水量が増えれば、取り出す給水管も40mm、50mmなどへ大きくなります。

さらに75mm、100mm、150mmという規模になると、サドル付分水栓ではなくT字管や割T字管の領域に入っていきます。

全国的な設計の基本でも、50mm以下の給水管は分水栓・サドル付分水栓、75mm以上ではチーズ・T字管・割T字管という考え方が示されています。東京都の現在の指定材料でも、ダクタイル鋳鉄管から50mm以下を分岐するときはサドル付分水栓、75mm以上では耐震形割T字管を使用できる体系になっています。

ただし、50mm付近はちょうど境界になりやすいところです。

公的な施工基準を比較すると、本管75~400mmから20~40mmをサドル付分水栓とし、50mmから弁付割T字管とする体系があります。一方では、本管75mm以上から50mmを取り出す場合でもサドル付分水栓を認めています。さらに中国地方の指定材料でも、本管75~350mm程度から40mm・50mmを取り出すサドル付分水栓が存在します。

ですから、

25mmならサドル、75mmなら割T、50mmは条件による

くらいから覚えるのが初心者には実用的です。

もちろん最終的には、その水道事業者の給水装置工事施工基準によります。

一方、普通のT字管は、新しい管を布設するときに分岐を最初から作る場合に向いています。

例えば、

200mm本管
→ 200×100T字管
→ 100mm枝管

というような構成です。

既設管に後から普通のT字管を入れようとすると、本管を切断しなければなりません。そのため、すでに供用している管から断水せずに大きな分岐を作りたいときに割T字管が有効になります。

ここで「サドル付分水栓にも弁が付いているのに、なぜ仕切弁も必要なのか」という疑問が出てきます。

これは、管理する範囲が違うからです。

サドル付分水栓の止水機構は、そこから取り出した給水管を止めるためのものです。例えば一軒の住宅の給水管を止めても、その道路を通る配水管全体は流れ続けます。

一方、配水管に設置した仕切弁やバタフライ弁を閉めれば、その先の配水管全体を止められます。

そのため実際の配水管網では、T字管で枝分かれしただけでは終わりません。分岐した管の近くに仕切弁などを配置し、事故時に必要な部分だけ切り離せるようにします。

少ないバルブ操作で断水範囲を小さくできるよう、分岐管側だけでなく必要に応じて本管下流側にも弁を配置する考え方が採られています。

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4 逆止弁、空気弁、減圧弁、ボール弁などは何をしているのか

ここまでで、「止める弁」と「分ける器具」はかなり整理できます。しかし、水道にはこれ以外にも重要なものがあります。

まず逆止弁、チェックバルブです。

これは、人が「閉めよう」と操作するための弁ではありません。

通常方向へ水が流れれば開き、逆向きに流れようとすると自動的に閉じます。

代表的なのはポンプ吐出側です。

ポンプ運転中は、

ポンプ → 配管

へ水が流れます。

しかしポンプが停止すると、配管側の水がポンプ方向へ逆流しようとすることがあります。それを防ぐのが逆止弁です。

ただし、「逆止弁を付ければ水撃もなくなる」という意味ではありません。逆流が始まってから弁が急閉鎖すれば、逆に大きな圧力変動が発生する場合があります。逆止弁の閉鎖時間、弁体重量、逆流速度、配管長、ポンプ特性などが水撃の大きさに関係することが実験・解析の双方から確認されています。

次が空気弁です。

名前に「弁」と付いていますが、水を止めるのが主目的ではありません。

管内にたまった空気を外へ出し、逆に管から大量の水を抜くときには外から空気を取り込みます。

長い水道管に水を入れていくと、管内の空気は高い場所へ集まります。そこに出口がなければ、空気溜まりができて通水能力が落ちたり、充水がうまくいかなかったりします。

逆に水を抜くとき、空気を入れなければ管内が負圧になることがあります。

そのため空気弁は、管路の縦断上の凸部、水管橋や橋梁添架管の高い場所などに設けます。長い配水本管では、充水・排水を考えて途中にも空気弁を配置します。

空気弁の下にもう一つ小さな弁が付いていることがあります。

これが補修弁です。

空気弁そのものを修理・交換するとき、配水管全体を断水させなくても、補修弁だけを閉めれば空気弁を管路から切り離せます。消火栓にも同じ考え方で補修弁が設置されます。実際の標準材料では、補修弁としてレバー式ボール弁を使用する例があります。

ボール弁は、穴の開いた球体を90度回転させる弁です。

開閉が速く、構造が分かりやすく、比較的小口径の配管、補修弁、施設内配管、計装配管などで広く使用されます。道路下の大口径配水本管を何百mmにもわたって遮断する用途では仕切弁やバタフライ弁が中心ですが、小さな配管ではボール弁が非常に身近です。

そして減圧弁は、水を止めるのではなく、下流側の水圧を一定範囲まで下げるための弁です。

例えば高い場所にある配水池から低地へ自然流下させると、高低差によって低地側の水圧が高くなりすぎることがあります。その途中に減圧弁を入れ、

上流0.6MPa
→ 減圧弁
→ 下流0.3MPa

というように圧力を制御します。

減圧弁は地形の高低差が大きい区域、夜間に水圧が上がりやすい区域、配水ブロックの入口などに設置されます。また、故障や点検を考慮して、本管と同じ口径のバイパス管を設けることも基本的な考え方になっています。

さらに、流量や圧力を積極的に制御する弁としてコーン弁などがあります。配水管の遮断には仕切弁・バタフライ弁、流量・水圧の制御にはバタフライ弁・コーン弁などを使い分けるのが基本です。

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5 結局、どの器具をどのくらいの管径で使うと覚えればよいのか

まず「口径の数字」を丸暗記するより、何をしたいかを先に決めると理解しやすくなります。

本管そのものを止めたいのであれば、まず仕切弁かバタフライ弁です。

比較的小口径から中口径の配水管ではソフトシール仕切弁が一般的です。実際の標準では75~300mm程度を仕切弁、400mm以上をバタフライ弁とする例や、500mm未満を仕切弁、500mm以上をバタフライ弁とする例があります。したがって、75~300mm程度では仕切弁が非常に身近になり、400~500mmを越える大口径ではバタフライ弁が目立ってくると考えると、おおよその感覚をつかめます。

ただし、これは絶対的な境界ではありません。弁の規格を見ると、ソフトシール仕切弁にも400mmまでの製品体系があり、バタフライ弁にも300~400mm級が存在します。実際の採用は、圧力、設置スペース、操作トルク、管種、接合形式、耐震性、流量制御の必要性、既設設備との統一などによって変わります。

一方、本管から別の管を出したいなら、仕切弁とバタフライ弁の比較ではなく、サドル付分水栓、T字管、割T字管の比較になります。

20mmや25mm程度の住宅給水であればサドル付分水栓が代表的です。40mmもサドル付分水栓の範囲に入ることが多く、50mmは事業体や本管の種類によってサドル付分水栓と割T字管の双方が現れます。75mm以上になるとT字管・割T字管を使う考え方が中心になります。

そして、一方向だけ流したいなら逆止弁、圧力を下げたいなら減圧弁、管内の空気を処理したいなら空気弁、空気弁や消火栓だけを修理のため切り離したいなら補修弁、管内水を外へ出したいなら排水設備・排水弁という具合に役割が分かれます。

消火栓も単に消防車が水を取る設備というだけではありません。管路の洗浄や排水、充水時の吸排気に利用されることがあります。水道施設設計上は、単口消火栓を原則150mm以上の配水管、双口消火栓を300mm以上の配水管に設け、消火栓自体の口径は原則65mmとする考え方が示されています。

最終的に一番重要なのは、「バルブの名前」ではなく、その前後で水がどう動くのかを見ることです。

100mmの管の途中に100mmの仕切弁があれば、「この100mm管そのものを止めるためのもの」です。

100mmの管に100×25のサドル付分水栓があれば、「100mm本管を止めるものではなく、そこから25mmを取り出すもの」です。

500mmの大きな管に500mmのバタフライ弁があれば、「大口径本管を遮断したり、条件によって流量を制御したりするもの」です。

ポンプの出口に逆止弁があれば、「ポンプ停止後に水を戻さないためのもの」です。

管路の一番高いところに空気弁があれば、「水ではなく、そこへ集まる空気を処理するためのもの」です。

低い区域へ入る直前に減圧弁があれば、「流れを止めるのではなく、下流の圧力を適正にするためのもの」です。

このように見ていけば、水道管路は単なる「管とバルブの集まり」ではありません。

仕切弁・バタフライ弁で区間を作り、サドル付分水栓・T字管・割T字管で水を分け、逆止弁で流れる方向を守り、減圧弁で圧力を整え、空気弁で空気を処理し、排水設備や消火栓から必要なときに水を出す。

それぞれが別々の仕事を受け持つことで、数十km、数百kmとつながる水道管網を、必要な場所だけ止め、必要な場所へ必要な圧力と水量で水を送り続けられるようになっています。

参考文献

・岡 山 市 水 道 局 :配水管布設工事標準設計マニュアル 令和7年4月
https://www.water.okayama.jp/material/files/group/8/202504hyoujyunnsekkeimanyuaru.pdf

・厚生労働省:水道施設設計指針 2012 4.導 水 施 設 6.送 水 施 設 7.配 水 施 設 9.給 水 装 置 (抜 粋 版)
https://www.mlit.go.jp/common/830003599.pdf

・村川三郎・高橋紀行・飯野博文(1984)「逆止弁による管路系の水撃作用の解析―第1報 実験方法と各種逆止弁による水撃作用の検討」『空気調和・衛生工学会論文集』9巻24号,67–76頁
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shase/9/24/9_KJ00006677970/_article/-char/ja/

・仙 台 市 水 道 局:給水装置工事施行要領 令和8年4月
https://www.suidou.city.sendai.jp/material/files/group/13/07-212-ch1-8.pdf

・仙台市:給水工事施行基準(令和8年4月1日)
https://www.water.city.nagoya.jp/category/20200tosyo/14047.html

・国土交通省 大臣官房 技術調査課 施工企画室機械工事 共通仕様書(案) 令和8年3月
https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001879353.pdf

・東京都 水道局 道路下に敷設する給水装置用材料について
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/jigyosha/kyusui